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高輝度化学発光タンパク質Nano-lanternの開発
化学発光イメージングへの誘い

Vol.52 No.10 Page. 646 - 650 (published date : 2014年10月1日 advanced publication : 2014年9月20日)
齊藤 健太1, 永井 健治2
  1. 東京医科歯科大学脳統合機能研究センター
  2. 大阪大学産業科学研究所

概要原稿

蛍光タンパク質を利用した蛍光ライブイメージング技術の発展により,動植物個体の生理機能を生きたまま可視化することが可能になった.また,多光子顕微鏡や超解像顕微鏡技術などの顕微鏡技術の発展も近年著しい.蛍光観察技術が進歩する一方で,生体試料への光毒性や自家蛍光といった問題は未解決のまま残されている.このような状況のなかで,ホタルルシフェラーゼに代表される化学発光を用いたライブイメージングにも注目が集まりつつある.化学発光は蛍光と違い,外部からの励起光照射を必要としないため自家蛍光や生物個体に対する光毒性・光応答を回避することができる.化学発光の蛍光に対するこのような優位性は以前から認識されていたが,放出するフォトン数が少なく数秒から数十分もの長時間露光が必要なため,これまで時間分解能の高いライブイメージングには使用されてこなかった.しかしながら近年,われわれの開発した高輝度化学発光タンパク質Nano-lanternを利用することで化学発光ライブイメージングが可能となった.本稿ではNano-lanternの開発とそれを利用した化学発光ライブイメージングについて紹介する.

リファレンス

  1. 1) 齊藤健太,永井健治:化学と生物,49, 555 (2011).
  2. 2) T. Nagai et al.: Nat. Biotechnol., 20, 87 (2002).
  3. 3) K. Saito, Y. F. Chang, K. Horikawa, N. Hatsugai, Y. Higuchi, M. Hashida, Y. Yoshida, T. Matsuda, Y. Arai & T. Nagai: Nat. Commun., 3, 1262 (2012).
  4. 4) K. Saito, Y. Higuchi, Y. Arai & T. Nagai: Protocol Exchange (2013), doi:10.1038/protex.2013.024
  5. 5) K. Horikawa, Y. Yamada, T. Matsuda, K. Kobayashi, M. Hashimoto, T. Matsu-ura, A. Miyawaki, T. Michikawa, K. Mikoshiba & T. Nagai: Nat. Methods, 7, 729 (2010).
  6. 6) F. Zhang et al.: Nature, 446, 633 (2007).
  7. 7) H. Imamura, K. P. H. Nhat, H. Togawa, K. Saito, R. Iino, Y. Kato-Yamada, T. Nagai & H. Noji: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 15651 (2009).


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