解説

シストセンチュウふ化促進物質の不斉全合成

Vol.53 No.1 Page. 34 - 37 (published date : 2014年12月20日)
谷野 圭持1
  1. 北海道大学大学院理学研究院
vol53_1

 

概要原稿

ソラノエクレピンAは,ジャガイモシストセンチュウ(PCN)のふ化促進物質としてジャガイモから発見された超微量天然物である.国内外での活発な合成研究にもかかわらず,極めて複雑な分子構造を有するためにその合成は困難を極めていた.筆者らは独自の戦略に基づき,市販の化合物から52工程の変換を経てソラノエクレピンAの世界初の不斉全合成に成功した.生物試験において,合成品は極めて低濃度でふ化促進活性を示したことから,PCN根絶を目指した応用研究が期待される.

リファレンス

  1. 1) T. Masamune, M. Anetai, M. Takasugi & N. Katsui: Nature, 297, 495 (1982).
  2. 2) A. Murai, N. Tanimoto, N. Sakamoto & T. Masamune: J. Am. Chem. Soc., 110, 1985 (1988).
  3. 3) J. G. Mulder, P. Diepenhorst, P. Plieger & I. E. M. Bruggemann-Rotgans: CT Int. Appl. WO 93 02 083, 1992.
  4. 4) K. Tanino, M. Takahashi, Y. Tomata, H. Tokura, T. Uehara, T. Narabu & M. Miyashita: Nat. Chem., 3, 484 (2011).
  5. 5) 奈良部 孝:農業および園芸,83, 595 (2008).


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