解説

蛍光指紋による食品の品質評価技術とその応用

Vol.53 No.5 Page. 285 - 292 (published date : 2015年4月20日)
蔦 瑞樹1, 杉山 純一1
  1. 農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所
vol53_5

 

概要原稿

近年のセンサ技術とコンピュータの進展は,これまで不可能であったことを可能にする.古くから食品の品質を数値化する試みは数多くなされてきたが,「蛍光指紋」を用いることにより,従来は困難とされてきた品質を,迅速かつ簡易に計測することが可能になってきた.蛍光指紋はさまざまな励起・蛍光波長条件下で蛍光強度を計測して得られる等高線状のデータで,感度が高く情報量が多いという特徴をもつ.本稿では,まず蛍光指紋とその計測・解析方法を概説する.後半では,応用事例としてサトイモの産地判別,パン生地中のグルテンとデンプン分布の可視化などを紹介する.

リファレンス

  1. 1) N. C. Shaner, P. A. Steinbach & R. Y. Tsien: Nat. Methods, 2, 905 (2005).
  2. 2) L. Moberg, G. Robertsson & B. Karlberg: Talanta, 54, 161 (2001).
  3. 3) J. Christensen, L. Nørgaard, R. Bro & S. B. Engelsen: Chem. Rev., 106, 1979 (2006).
  4. 4) 西川泰治,平木敬三:“蛍光・りん光分析”,共立出版,1987.
  5. 5) 田村善蔵,太幡利一,保田和雄:“けい光分析”,講談社,1974.
  6. 6) J. SádeCká & J. TóThoVá: Czech Journal of Food Sciences, 25, 159 (2007).
  7. 7) 長谷川勝也:“ホントに分かる多変量解析”,共立出版,1998.
  8. 8) 廣野元久,林 俊克:“JMPによる多変量データ活用術”,海文堂出版,2008.
  9. 9) 岩元睦夫,河野澄夫,魚住 純:“近赤外分光法入門”,幸書房,1995.
  10. 10) E. Acar & B. Yener: IEEE Trans. on Knowledge and Data Eng., 21, 6 (2009).
  11. 11) 中村結花子,藤田かおり,蔦 瑞樹,杉山純一,粉川美踏,吉村正俊,柴田真理朗,鍋谷浩志,荒木徹也,中村 哲:日本食品工学会誌,14, 125 (2013).
  12. 12) 植木 隆:日本食品科学工学会誌,55, 405 (2008).
  13. 13) 農林水産省:平成23年生鮮食料品価格・販売動向調査報調査結果の概要,http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Pdfdl.do?sinfid=000023757891, 2012. http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Pdfdl.do?sinfid=000023757891
  14. 14) N. I. Kobayashi, K. Tanoi, A. Hirose, T. Saito, A. Noda, N. Iwata, A. Nakano, S. Nakamura & T. M. Nakanishi: J. Agric. Food Chem., 59, 4412 (2011).
  15. 15) 農林水産省農林水産技術会議事務局:“安全で信頼性機能性が高い食品農産物供給のための評価管理技術の開発:食品農産物の表示の信頼性確保と機能性解析のための基盤技術の開発”,2013, p. 36.
  16. 16) M. Kokawa, K. Fujita, J. Sugiyama, M. Tsuta, M. Shibata, T. Araki & H. Nabetani: J. Cereal Sci., 55, 15 (2012).
  17. 17) 蔦 瑞樹,中内茂樹,西野 顕,杉山純一:日本食品科学工学会誌,59, 139 (2012).
  18. 18) K. Nishino, K. Nakamura, M. Tsuta, M. Yoshimura, J. Sugiyama & S. Nakauchi: Opt. Express, 21, 12579 (2013).


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