バイオサイエンススコープ

オットー・マイヤーホッフのヒトラーとナチスからの逃脱
ピレネー越えの真相

Vol.53 No.11 Page. 792 - 796 (published date : 2015年10月20日)
木村 光1
  1. 京都大学名誉教授
vol53_11

 

概要原稿

解糖系(Embden-Meyerhof Pathway)に名を残すマイヤーホッフは,酵母による発酵と筋肉の乳酸蓄積が共通経路をもつことを解明した.ノーベル賞を受賞したユダヤ人として,ナチスとヴィシー政権による出国制限を受けたが,ロッシュらの支援を得てピレネー山脈を越えてスペインに脱出,その後アメリカへ亡命した.この小論は,彼の国境越えの真相である.偶然,今年はヒトラーナチスからの開放70周年で,記念式典がヨーロッパ各地で行われている.

リファレンス

  1. 1) W. Meyerhof: “In the Shadow of Love, Stories From My Life,” Fithian Press, Canada, 2002.
  2. 2) D. Nachmansohn: “German-Jewish Pioneers in Science, 1900–1933,” Springer-Verlag, Berlin–Heidelberg–New York, 1979.
  3. 3) H. Krebs: “OTTO WARBURG,” Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart, 1979.
  4. 4) A. D. Beyerchen: “Scientists under Hitler,” Yale University Press, 1977.
  5. 5) 丸山工作:“生命現象を探る”,中央公論社,1972.
  6. 6) 丸山工作:“生化学の黄金時代”,岩波書店,1990.
  7. 7) 丸山工作:“生化学の夜明け”,中公新書,1993.
  8. 8) その他(関係者の書簡類多数).


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