今日の話題
組換えイネでつくられたIL-10
植物を用いた安価で安全性の高いタンパク質生産系の確立
Vol.49 No.1 Page. 13 - 14 (published date : 2011年1月1日)
概要原稿
遺伝子組換え技術の発明により1980年にヒトインシュリンが大腸菌で生産されたことに始まって 今では微生物や動物細胞を用いて多くの組換えタンパク質が医薬品などとして生産されている ところが 大腸菌によるタンパク質生産システムはエンドトキシンの混入リスクがあること また動物細胞によるシステムではウイルス プリオンなど動物由来の病原体の混入リスクがあることなどに加えて 培養に莫大なコストがかかるという問題があった 近年 これらの問題を解決する新しいタンパク質生産系として 組換え植物によるタンパク質生産系が注目を集めてきている 1 筆者らは イネ種子胚乳にタンパク質を蓄積するベクター 2 3 を用いてヒトのサイトカインIL 10 インターロイキン10 を発現させ 抽出精製し 高活性でエンドトキシンを含まないIL 10を得ることに成功した 4 日本での組換え植物の商業利用としてはサントリーの青いバラに続き2例目になる
リファレンス
- 1) D. Lienard, C. Sourrouille, V. Gomord & L. Faye : Biotechnol. Annu. Rev., 13, 115 (2007).
- 2) F. Goto, T. Yoshihara, N. Shigemoto, S. Toki & F. Takaiwa : Nature Biotechnol., 17, 282 (1999).
- 3) L. Yang, K. Suzuki, S. Hirose, Y. Wakasa & F. Takaiwa : Plant Biotechnol. J., 5, 815 (2007).
- 4) Y. Fujiwara, Y. Aiki, L. Yang, F. Takaiwa, A. Kosaka, N. M. Tsuji, K. Shiraki & K. Sekikawa : Protein Expr. Purif., 72, 125 (2010).
- 5) 森嶋紀子,千葉祐規乃,善本隆之:“実験医学増刊 サイトカインによる免疫制御と疾患”,羊土社,2010, p. 108.
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