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消化管タイトジャンクションバリア機能を調節する食品成分
生体防御の最前線をコントロール

Vol.49 No.6 Page. 368 - 370 (published date : 2011年6月1日)
鈴木 卓弥1
  1. 広島大学大学院生物圏科学研究科

概要原稿

消化管の粘膜表面は,常在菌や食事由来抗原に絶えず曝露されている.この粘膜面は,テニスコート1.5面分にも相当する表面積をもち,1層の上皮細胞により覆われている.つまり,消化管において,からだの内と外を隔てているのはわずか1層の上皮細胞層であり,この上皮細胞は管腔内に存在する異物の侵入を厳密に制限している.この機能は消化管バリア機能と総称され,隣接する上皮細胞どうしを強固に接着するタイトジャンクション(TJ),杯細胞から分泌され粘膜表面に粘液層を形成するムチン,パネート細胞や吸収細胞から分泌され外来菌の排除に役割を果たす抗菌ペプチドなどに統合される.ここでは,筆者らが近年注目しているTJのバリア機能と食品成分との関わりについて紹介する.

リファレンス

  1. 1) H. Tremel, B. Kienle, L. S. Weilemann, P. Stehle & P. Furst : Gastroenterology, 107, 1595 (1994).
  2. 2) J. Neu, V. DeMarco & N. Li : Curr. Opin. Clin. Nutr. Metab. Care, 5, 69 (2002).
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  4. 4) A. Seth, S. Basuroy, P. Sheth & R. K. Rao : Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 287, G510 (2004).
  5. 5) T. Suzuki & H. Hara : J. Nutr., 139, 965 (2009).
  6. 6) T. Suzuki, B. C. Elias, A. Seth, L. Shen, J. R. Turner, F. Giorgianni, D. Desiderio, R. Guntaka & R. Rao : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 61 (2009).
  7. 7) T. Suzuki, S. Tanabe & H. Hara : J. Nutr., 141, 87 (2011).


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