「化学と生物」文書館

二成分制御系研究を振り返って
(後編:ゲノム時代)

Vol.49 No.7 Page. 485 - 489 (published date : 2011年7月1日)
水野 猛1
  1. 名古屋大学農学部

概要原稿

1990年代に大腸菌二成分制御系研究でしのぎを削った多くの研究者が今も大腸菌を用いて優れた研究を継続しているのと比して,現在私はなぜか植物の研究に流れ着いている.しかしその経緯は,遺伝暗号を解読したニーレンバーグが神経系の分野に転身した格好良さとは違い,私の悪い研究癖に起因する.すなわち,研究が煮詰まってくると簡単なテーマに逃げてしまう癖である.少し言い訳をいえば,日本の大学での研究は未熟な院生が主体であり,研究と教育が一体化している.テーマが煮詰まって壁に当たったときに,それを突破するための難しいテーマを院生に与えるのは酷であると思い,簡単なテーマを立てる癖がついてしまった.これから述べる後半のストーリーはこの悪い癖が連続的に出た結果である.

リファレンス

  1. 1) K. Ishige, S. Nagasawa, S. Tokishita & T. Mizuno : EMBO J., 13, 5195 (1994).
  2. 2) T. Mizuno : DNA Res., 4, 161 (1997).
  3. 3) T. Suzuki, K. Miwa, K. Ishikawa, H. Yamada & T. Mizuno : Plant Cell Physiol., 42, 107 (2001).
  4. 4) A. Matsushika, S. Makino, M. Kojima & T. Mizuno : Plant Cell Physiol., 41, 1002 (2000).


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