今日の話題

葉の上に棲む微生物でプラスチックゴミを減らそう
農業用マルチフィルムの分解促進に期待

Vol.49 No.8 Page. 526 - 528 (published date : 2011年8月1日)
北本 宏子1, 小板橋 基夫1
  1. (独)農業環境技術研究所

概要原稿

プラスチックゴミを回収,廃棄,処理する労力とゴミの量を削減するために,自然界の微生物により分解される「生分解性プラスチック」の利用が推進されている.常温で分解されるタイプの生分解性プラスチック製の資材は,屋外で使用した後で回収・処理する手間やコストがかからないため,農業や土木業など,プラスチック製品が環境中に散在し,回収が困難な現場で普及に適している.すでに,マルチフィルム,ポット,結束テープなど,使用期間が短い農業用資材に使われ始めた.その素材の主成分は,ポリブチレンサクシネート(PBS)や,ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)など,ジオール,ジカルボン酸の重縮合によって得られる脂肪族ポリエステルであり,現在,石油から製造されているが,国内の複数の企業では,近い将来,発酵法でつくったコハク酸を主原料に用いて製造する計画がある.そこで,高純度で安価な発酵コハク酸のニーズが高まっている.

リファレンス

  1. 1) 坂井久純:施設と園芸,150, 63 (2010).
  2. 2) T. Nakajima-Kambe et al. : J. Biosci. Bioeng., 108, 513 (2009).
  3. 3) K. Masaki et al. : Appl. Environ. Microbiol., 71, 7548 (2005).
  4. 4) H. Maeda et al. : Appl. Microbiol. Biotechnol., 67, 778 (2005).
  5. 5) Y. Kodama et al. : Proteins, 77, 710 (2009).
  6. 6) 北本宏子ら:特許公開2008—237212.
  7. 7) 小板橋基夫ら:特許公開2010—099066.


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