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大気中CO2濃度の増加が樹木を変える?
光合成作用や樹木の成長・材質などに及ぼす影響を探る

Vol.49 No.12 Page. 817 - 818 (published date : 2011年12月1日)
渡邊 陽子1
  1. 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター

概要原稿

化石燃料の急激な使用量増加や土地利用形態の変化などに起因する人為的由来のCO2の増加による地球温暖化の問題が叫ばれ始めて久しい.世界各国がCO2削減対策に頭を悩ませている中,森林樹木による炭素蓄積が期待されている.樹木は多年生であり,光合成作用により大気中CO2を有機物へと変換し,樹体内に何十年,何百年にわたって蓄積させる.特に,幹は伐採後も木材として長期間炭素を貯留した状態を保つことができる.しかし,樹木それ自体が高CO2濃度環境下で長期間成長することを考えると,光合成作用をはじめとして何らかの影響を受けないはずはない.特に高CO2濃度環境下で樹木の成長量や材質が変化するならば,その炭素貯留機能や木材利用に影響するだろう.環境変動下における樹木の応答について,特に将来予測される大気中CO2濃度環境下での応答について早急に解明し,予測を行なう必要がある.そこで,これまでに世界中で多くのCO2曝露実験が行なわれてきた.

リファレンス

  1. 1) W. J. Arp : Plant Cell Environ., 14, 869 (1991).
  2. 2) 小池孝良,森 茂太,高橋邦秀,及川武久:森林立地,37, 28 (1995).
  3. 3) 江口則和,上田龍四郎,笹賀一郎,小池孝良:北方林業,56, 4 (2004).
  4. 4) E. A. Pinkard, C. L. Beadle, D. S. Mendham, J. Carter & M. Glen : For. Ecol. Manage., 260, 1251 (2010).
  5. 5) Y. Watanabe, T. Satomura, K. Sasa, R. Funada & T. Koike : Plant Cell Environ., 33, 1101 (2010).
  6. 6) P. Fonti, G. von Arx, I. García-González, B. Eilmann, U. Sass-Klaassen, H. Gärtner & D. Eckstein : New Phytol., 185, 42 (2009).
  7. 7) C. Calfapietra et al. : Trends Plant Sci., 15, 5 (2010).


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