今日の話題

小胞体から出芽する輸送小胞に輸送基質が濃縮される仕組み
積み荷タンパク質の選別や輸送に関わるCOPIIとSar1の役割

Vol.50 No.2 Page. 74 - 76 (published date : 2012年2月1日)
佐藤 健1
  1. 東京大学大学院総合文化研究科

概要原稿

真核細胞内のオルガネラ間は,主として直径50x{301c}100 nmの「輸送小胞」と称される小さな膜小胞を介した小胞輸送によって盛んに物質のやりとりを行なっている.特に細胞内膜系の半分以上を占める小胞体では,各オルガネラで機能するタンパク質や分泌タンパク質の合成が行なわれるため,細胞内の全タンパク質の実に約30%が小胞体から下流のオルガネラへと送り出されている.そのため,小胞体ではさまざまな機能や構造をもったタンパク質が選別を受けて輸送されていく.輸送小胞は,コートタンパク質複合体が低分子量GTPaseによって制御されながらオルガネラ膜上に集合し,膜を変形させることによって形成される.小胞体からの輸送は,COPII (coat protein complex II) と呼ばれるコートタンパク質と低分子量GTPaseであるSar1によって形成されるCOPII小胞が担っている

リファレンス

  1. 1) K. Sato & A. Nakano : FEBS Lett. (review), 581, 2076 (2007).
  2. 2) P. Malkus, F. Jiang & R. Schekman : J. Cell Biol., 159, 915 (2002).
  3. 3) K. Sato & A. Nakano : Nature Struct. Mol. Biol., 12, 167 (2005).
  4. 4) K. V. Tabata, K. Sato, T. Ide, T. Nishizaka, A. Nakano & H. Noji : EMBO J., 28, 3279 (2009).
  5. 5) S. M. Stagg et al. : Cell, 134, 474 (2008).
  6. 6) C. Kodera, T. Yorimitsu, A. Nakano & K. Sato : Traffic, 12, 591 (2011).


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