海外だより

グローバル時代を生き抜く研究者へ
米国大学院留学からシンガポールで独立まで

Vol.50 No.2 Page. 141 - 146 (published date : 2012年2月1日)
杉井 重紀1,2,3
  1. シンガポール・バイオイメージング研究所
  2. デューク大学
  3. シンガポール国立大学ジョイント医学系大学院

概要原稿

研究留学を含め,海外留学を目指す日本人が減少しているといわれる.中国や韓国,インドなどから留学を志す人たちが急増しているのと対照的である.筆者の米国留学中は,それに比例するかのようにこれらの国の注目度が高まり,逆に日本の存在感が薄くなっていくのを感じた.日本のこの状況は,グローバル2.0ともいわれるこの時代に逆行しているのは間違いない.そもそも研究の世界は,他に比べても,最も「フラットな世界」が進んでいる業界であると筆者は思う.世界中から一流の人材を集め,研究に多額の投資を行ない,急速に発展を遂げているシンガポールに来て,その思いはますます強くなった.多くの日本人が留学を志さなくなった理由は様々だろうが,その1つに「わざわざ留学する利点が見いだせない」というのがある.ここでは,自分の体験をもとに,留学する3つの意義について紹介したい.ただし,これらは「ただ留学する」だけで得られるものとは限らず,本人の努力(と数々の失敗!)が必要である.その3つとは「英語力」「ネットワーキング」「サバイバル術」である.

リファレンス

  1. 1) http://kagakusha.net/ http://kagakusha.net/
  2. 2) カガクシャネット,山本智徳:“理系大学院留学―アメリカで実現する研究者への道”,アルク,2010.
  3. 3) T. Y. Chang, P. C. Reid, S. Sugii, N. Ohgami, J. C. Cruz & C. C. Y. Chang : J. Biol. Chem., 280, 20917 (2005).
  4. 4) S. Sugii et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 22504 (2009).
  5. 5) S. Sugii & R. M. Evans : FEBS Lett., 585, 2121 (2011).
  6. 6) S. Sugii, Y. Kida, T. Kawamura, J. Suzuki, R. Vassena, Y. Q. Yin, M. K. Lutz, W. T. Berggren, J. C. Izpisua Belmonte & R. M. Evans : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 3558 (2010).
  7. 7) S. Sugii, Y. Kida, W. T. Berggren & R. M. Evans : Nature Protoc., 6, 346 (2011).


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