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微生物燃料電池の可能性
グリーンイノベーションへの挑戦

Vol.50 No.3 Page. 150 - 152 (published date : 2012年3月1日)
高妻 篤史1, 宮原 盛夫1, 渡邉 一哉1,2,3
  1. JST ERATO橋本光エネルギー変換システムプロジェクト
  2. 東京大学先端科学技術研究センター
  3. 東京薬科大学生命科学部

概要原稿

微生物燃料電池 (microbial fuel cell, MFC) とは,微生物の代謝能力を利用して有機物などの燃料(化学エネルギーを保持した物質)を電気エネルギーに変換する装置である(図1)(1).電池であるので,プラス極(カソード)とマイナス極(アノード)からなる.アノードでは,投入された燃料が微生物により酸化分解されて発生する電子を電極で回収する.その電子は外部回路を経由してカソードに移動し,カソード極での酸化剤の還元反応により消費される.アノード化学反応とカソード化学反応の電位差に従い電子が流れるので,その際の電位差と電子流量(電流量)の積に相当するエネルギーが外部回路において得られることになる.カソードには,水溶液を入れたカソード槽が使用される場合(図1-A,二槽型)と,膜電極(図1-B,一槽型)が使われる場合があり,酸化剤としては大気中の酸素が,酸素還元にはプラチナなどの化学触媒が用いられるのが一般的である.アノード触媒として用いられる微生物の多様な異化的代謝能力を利用することにより,多様な有機化合物を燃料として用いることができる点がMFCの特徴である.さらに,微生物群集をアノード触媒として用いることにより,複雑で変動する廃棄物系有機物(生ごみ,畜産廃棄物,廃水など)を燃料にすることも可能になる.

リファレンス

  1. 1) K. Watanabe : J. Biosci. Bioeng., 106, 528 (2008).
  2. 2) B. H. Kim, H. J. Kim, M. S. Moon & D. H. Park : J. Microbiol. Biotechnol., 9, 127 (1999).
  3. 3) K. P. Nevin, H. Richter, S. F. Covalla, J. P. Johnson, T. L. Woodard, A. L. Orloff, H. Jia, M. Zhang & D. R. Lovley : Environ. Microbiol., 10, 2505 (2008).
  4. 4) H. Sakai, T. Nakagawa, Y. Tokita, T. Hatazawa, T. Ikeda, S. Tsujimura & K. Kano : Energy Environ. Sci., 2, 133 (2009).
  5. 5) Y. Zhao, K. Watanabe & K. Hashimoto : Phys. Chem. Chem. Phys., 13, 15016 (2011).
  6. 6) Z. Du, H. Li & T. Gu : Biotechnol. Adv., 25, 464 (2007).
  7. 7) T. Shimoyama, S. Komukai, A. Yamazawa, Y. Ueno, B. E. Logan & K. Watanabe : Appl. Microbiol. Biotechnol., 79, 325 (2008).
  8. 8) K. P. Nevin, T. L. Woodard, A. E. Franks, Z. M. Summers & D. R. Lovley : MBio, 1, e00103 (2010).


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