今日の話題

イオノフォアポリエーテル生合成における骨格構築機構
酵素的エポキシド開環反応によって多数のエーテル環を効率的に構築

Vol.50 No.4 Page. 236 - 237 (published date : 2012年4月1日)
南 篤志1, 及川 英秋1
  1. 北海道大学大学院理学研究院

概要原稿

ポリエーテル化合物とは,5員環から10員環までのサイズの異なるエーテル環が複数連結したポリエーテル骨格を有する天然有機化合物の総称であり,イオノフォア活性,イオンチャネル阻害活性,抗腫瘍性,抗マラリア活性など,多様な生理活性を示す.本化合物群は,他の天然物にはみられない特徴的な生理活性と複雑な化学構造を有していることから多くの研究者の注目を集め,全合成研究や構造活性相関研究が活発に展開されてきた.また,「30個以上にも及ぶエーテル環をもつポリエーテル型天然物を生物はどのようにしてつくっているのか?」という点にも興味がもたれ,1970年代から数多くの生合成研究が行なわれてきた.その過程で,1983年にはポリエーテル骨格の構築機構を統一的に説明しうる「ポリエン-ポリエポキシド仮説」が提唱された(1).これは,①ポリケタイド合成酵素 (PKS) により生合成された鎖状ポリオレフィン前駆体に対する立体選択的なエポキシ化,②生成したポリエポキシドの位置選択的なエポキシド開環反応,によりポリエーテル骨格が構築されるというものである

リファレンス

  1. 1) D. E. Cane et al. : J. Am. Chem. Soc., 105, 3594 (1983).
  2. 2) Y. Shichijo et al. : J. Am. Chem. Soc., 130, 12230 (2008).
  3. 3) Y. Matsuura et al. : Org. Lett., 12, 2226 (2010).
  4. 4) A. Minami et al. : Org. Lett., 13, 1638 (2011).
  5. 5) K. Hotta et al. : Nature, DOI : 10.1038/nature10865.
  6. 6) K. Sato et al. : Tetrahedron Lett., 52, 5277 (2011).


本文はトップページからログインをして頂くと表示されます。