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病原真菌Candida glabrataにおけるステロール輸送の生理的役割
血清からのコレステロール取り込みが病原性に必須か?

Vol.50 No.4 Page. 241 - 242 (published date : 2012年4月1日)
田辺 公一1
  1. 国立感染症研究所

概要原稿

生物にとってステロールは,細胞膜を形成し様々な生理活性をもつ必須な脂質であるが,合成過程において酸素が必要である.出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeは,好気条件ではエルゴステロール(哺乳類でのコレステロールに相当する)を合成し,細胞外にステロールが存在しても取り込んで利用することはないが,嫌気条件下でエルゴステロール合成が抑制されると,細胞外ステロールの取り込みが観察されるようになる.S. cerevisiaeは,ステロール合成が可能な条件では「栄養」となりうる細胞外ステロールを排除して,自身のステロール合成のみで生育するという戦略でステロール恒常性を維持していると考えられる.

リファレンス

  1. 1) H. Nakayama et al. : J. Antimicrob. Chemother., 60, 1264 (2007).
  2. 2) Y. Li & W. A. Prinz : J. Biol. Chem., 279, 45226 (2004).
  3. 3) K. C. Hazen, J. Stei, C. Darracott, A. Breathnach, J. May & S. A. Howell : Diagn. Microbiol. Infect. Dis., 52, 35 (2005).
  4. 4) H. Nakayama, M. Izuta, N. Nakayama, M. Arisawa & Y. Aoki : Antimicrob. Agents Chemother., 44, 2411 (2000).


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