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腸管常在性真菌が腸管に定着する仕組みを探る
Candida glabrataの乳酸脱水素酵素Cyb2は腸管定着に必要な因子

Vol.50 No.5 Page. 320 - 321 (published date : 2012年5月1日)
上野 圭吾1, 松本 靖彦2, 関水 和久2, 金城 雄樹1, 知花 博治3
  1. 国立感染症研究所
  2. 東京大学大学院薬学系研究科
  3. 千葉大学真菌医学研究センター

概要原稿

Candida glabrataは,ヒトの腸管などに常在する病原性酵母である.免疫力が低下した患者においては,本菌が日和見感染することが知られており,全身感染 (深在性カンジダ症)に至ると致死率が高い.化学療法について見てみると,残念ながら抗真菌剤の種類は限られているのが現状である.耐性菌の出現も報告されていることから,新規作用機序をもった抗真菌剤の開発が望まれている.抗真菌剤の作用機序を考える上で重要なことは,細胞学的な観点で見れば酵母細胞もヒトの細胞と同様に真核細胞であるということだ.細胞の生育に必須な機能は,酵母にも保存されている場合が多い.そのため,ヒトの細胞に傷害を与えずに真菌特異的に殺菌する薬剤というのは開発が容易でない.

リファレンス

  1. 1) 槇村浩一:日本細菌学雑誌62, 295 (2007).
  2. 2) J. R. Naglik et al. : FEMS Microbiol. Lett., 283, 129 (2008).
  3. 3) M. C. Lorenz et al. : Eukaryot. Cell, 1, 657 (2002).
  4. 4) N. Vieira et al. : Mol. Microbiol., 75, 1337 (2009).
  5. 5) K. Ueno et al. : PLoS ONE, 6, e24759 (2011).
  6. 6) M. Richard et al. : Mol. Microbiol., 44, 841 (2002).
  7. 7) S. J. White et al. : PLoS Pathog., 3, e184 (2007).


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