巻頭言

予定外を愉しむ

Vol.50 No.6 Page. 393 - 393 (published date : 2012年6月1日)
伊藤 幸成1
  1. 理化学研究所基幹研究所

冒頭文

このところあまり聞かなくなったものに,セレンディピティーという言葉がある.セレンディピティーとの出会いは,まさに科学の醍醐味であろう.最近は,何かを立案しようとすると,時限を定めた目標を明示することが求められる.そこにおいて評価の対象となるのは,目標の達成度であり,セレンディピティーという予定外の愉しみを,表立って奨励する雰囲気はない.目標通り進んだ研究は高く評価され,それを指揮した人は賞賛される.予定に従って事が運ぶのは達成感につながるものと想像するが,そこで得られるのはどちらかというと「肩の荷が下りた」という感覚で,セレンディピティーを極みとする研究の愉しみとは少し異なったものであろう.

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