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海産軟体動物から得られる多様なラミナリナーゼ
動物種の生活環境と関連した酵素特性の違い

Vol.50 No.6 Page. 396 - 398 (published date : 2012年6月1日)
熊谷 裕也1, 尾島 孝男1
  1. 北海道大学大学院水産科学研究院

概要原稿

ラミナリンは，コンブなどの褐藻の貯蔵多糖として知られるβ-1,3-グルカン（以下，β-グルカン）の一種で，β-1,3結合により重合したグルコースの主鎖のところどころにβ-1,6結合によりグルコース側鎖が結合した構造をもつ．レンチナンなどの担子菌由来のβ-グルカンには，マクロファージの活性化作用やアレルギーの低減作用，免疫賦活作用などの生理活性があることが知られているが（1），ラミナリンにも免疫賦活作用や糖尿病改善作用がある（2）．また，ラミナリンを酵素分解して得たラミナリオリゴ糖には，ヒト単球のTNF-α分泌促進作用があるとされる（3）．このようなβ-グルカンの生理作用が，どのようなβ-グルカンの糖鎖構造に基づくのかは未だよくわかっていないが，これを明らかにするにはβ-グルカンに特異的な分解酵素により各種断片を作製し，それらを用いて構造・機能連関を解析することが有効と思われる．

リファレンス

  1. 1) O. Rop, J. Mlcek & T. Jurikova : Nutr. Rev., 67, 624 (2009).
  2. 2) Z. Pang, K. Otaka, T. Maoka, K. Hidaka, S. Ishijima, M. Oda & M. Ohnishi : Biosci. Biotechnol. Biochem., 69, 553 (2005).
  3. 3) N. Miyanishi, Y. Iwamoto, E. Watanabe & T. Oda : J. Biosci. Bioeng., 95, 192 (2003).
  4. 4) Y. Kumagai & T. Ojima : Comp. Biochem. Physiol. B, 154, 113 (2009).
  5. 5) Y. Kumagai & T. Ojima : Comp. Biochem. Physiol. B, 155, 138 (2010).
  6. 6) Y. Kumagai, A. Inoue, H. Tanaka & T. Ojima : Fish. Sci., 74, 1127 (2008).


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