バイオサイエンススコープ

新たな時代を迎える日本ワイン

Vol.50 No.6 Page. 465 - 470 (published date : 2012年6月1日)
鹿取 みゆき1
  1. フード&ワインジャーナリスト

概要原稿

「日本ワイン」とはなんであるか.まずはじめにこの定義から説明したい.現在日本においては,日本ワインという言葉の法的な定義はない.さらに言えば「ワイン」という言葉の定義すらないのが実情だ.日本には,ワイン,そして日本ワインがなんであるか,さらにはワイン造りの方法を規定する法律がないのである. 海外の主要産出国,たとえばEUにはワイン法があり,ワインは新鮮なブドウまたはブドウ果汁を醸造した果実酒であることが定められている.フランスワインならば,フランスの新鮮なブドウあるいは果汁で造った果実酒のことになる.この考え方に従うならば,日本ワインは日本のブドウから造ったワインということになるはずだ.筆者は,日本のブドウで造ったワインのみが日本ワインとするべきだと考えている.最近では,大手ワインメーカーのサントリーがプレス向けに配布する資料で,同様の「日本ワイン」の定義を表明しているだけでなく,新聞でも同じような言葉の使い方をしているのが見られるようになった.本稿でも,日本ワインを日本のブドウから造ったワインとして,話を進めていきたい.

リファレンス

  1. 1) H. Kobayashi, H. Takase, K. Kaneko, F. Tanzawa, R. Takata, S. Suzuki & T. Konno : Am. J. Enol. Vitic., 61, 176 (2010).
  2. 2) H. Kobayashi, T. Tominaga, N. Ueno, K. Ajimura, Y. Aruga, D. Dubourdieu & T. Okubo : J. ASEV Jpn., 15, 109 (2004).
  3. 3) H. Kobayashi & T. Tominaga : J. ASEV Jpn., 16, 150 (2005).


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