巻頭言

秋入学移行で議論再燃―大学教育のグローバル化

Vol.50 No.8 Page. 559 - 559 (published date : 2012年8月1日)
牧 正敏1
  1. 名古屋大学大学院生命農学研究科

冒頭文

昨年度は学科長を務めていたこともあり,学部教育について考えさせられる機会が多かったが,今年はじめの「東大秋入学移行へ」のニュースには驚かされた.入学時期変更の影響は,教育界全体,さらに学生の就職時期をめぐって官公庁や産業界全体に及ぶ.世界の主流である秋入学への移行は,四半世紀前の中曽根内閣や最近でも安倍内閣の諮問会議で提案されたが実現しなかった.半年分の授業料収入の補填も必要で,費用と労力に見合う効果は疑問というのが理由のようだ.しかし,その後も多方面でグローバル化は急速に拡大しており,今回は現場の大学からの提案で今までとは状況が異なる.なぜまた秋入学なのか.アメリカにおける留学生数の出身国別では,かつて日本が1位であったが,2010年の調査によれば,1位,2位の中国,インドはともかく,3位の韓国の三分の一にも満たない.一方,日本における留学生受入数は,中曽根内閣の「留学生10万人計画」によって,当時の1万余人から2003年には目標が達成され,おおいに国際化が進んだといえる.しかし,その後は漸増で2011年は13.8万人の横ばい状態である.

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