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黄麹菌Aspergillus oryzaeのアフラトキシン生合成系遺伝子は機能しない
アフラトキシン生合成遺伝子ホモログクラスタの解析

Vol.50 No.8 Page. 560 - 561 (published date : 2012年8月1日)
山田 修1
  1. 酒類総合研究所

概要原稿

黄x{9eb4}菌Aspergillus oryzaeは，清酒や醤油などわが国の醗酵産業にとって重要な有用糸状菌である．また，日本人の永年にわたる食経験より安全性が証明された微生物として世界的に認識され，近年では，高いタンパク質生産能力と安全性から有用タンパク質生産のホストとして有力視されている．しかし，分類学的にはAspergillus属Flavi節に属し，その一部の株がカビ毒アフラトキシン （AF） 生産性であるA. flavusやA. parasiticusと近縁であるとされている．AFとは，1960年，英国においてカビに汚染された飼料を食べた七面鳥が大量に死んだ「七面鳥X病」の原因物質として発見され，非常に強力な発がん作用があると報告されている化合物である．黄x{9eb4}菌と近縁のA. flavusの一部がAFを生産することが報告されたことは，日本醸造産業界にとって大きな衝撃であり，わが国の研究者たちは産学官協同して膨大な研究を行い，黄x{9eb4}菌はどのような環境においてもAFを生産しないことを証明し発表した（1）．

リファレンス

  1. 1) 村上英也編著：麴学，日本醸造協会，1986, p. 61.
  2. 2) K. Yabe et al. : Appl. Microbiol. Biotechnol., 64, 745 (2004).
  3. 3) 楠本：日本醸造協会誌，95, 102 (2000).
  4. 4) M. Machida : Nature, 438, 1157 (2005).
  5. 5) M. Tominaga et al. : Appl. Environ. Microbiol., 72, 484 (2006).
  6. 6) Y. H. Lee et al. : Appl. Microbiol. Biotechnol., 72, 339 (2006).
  7. 7) 冨永ら：日本農芸化学会大会講演要旨集，2006, p. 91.
  8. 8) 松島健一朗：日本醸造協会誌，97, 559 (2006).
  9. 9) T. Akao et al. : DNA Res., 14, 64 (2007).
  10. 10) P. K. Chang et al. : Fungal Genet. Biol., 42, 914 (2005).
  11. 11) P. K. Chang : Mol. Gen. Genomics, 268, 711 (2003).
  12. 12) G. A. Payne et al. : Appl. Environ. Microbiol., 59, 156 (1993).
  13. 13) D. M. Meyers et al. : Appl. Environ. Microbiol., 64, 3713 (1998).
  14. 14) T. Kiyota et al. : J. Biosci. Bioeng., 111, 512 (2011).


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