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「合成代謝工学」による化学品生産
発酵工学のための新たなパラダイム構築にむけて

Vol.50 No.8 Page. 567 - 569 (published date : 2012年8月1日)
本田 孝祐1, 岡野 憲司1, 大竹 久夫1
  1. 大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻

概要原稿

代謝工学に基づく微生物ゲノムの改変は,発酵生産能力の改良を目指すうえで今や最も重要な戦略の一つとなっている.その一方で代謝工学的手法により設計・導入した改変が,期待どおりの生産性向上に結びつかないという事例も少なくない.これは,われわれが特定の代謝産物の生産性増大を目論んで微生物ゲノムに人為的改変を加えようとも,その改変が彼らの生存や増殖にとって不利に働くものであった場合,何らかのセーフティーネットワークが発動し,改変の効果が打ち消されるためであるとされる.発展著しい各種の-omics技術を駆使し,いわゆる「生命のロバスト性」と呼ばれるこれら一連のネットワークをより深く理解し制御しようという試みが,近年の代謝工学分野における潮流の一つとなっている.

リファレンス

  1. 1) P. Welch & R. K. Scopes : J. Biotechnol., 2, 257 (1985).
  2. 2) 奥 崇,岩田英之:“セルロース系バイオエタノール製造技術”,エヌ・ティー・エス,2010, p. 291.
  3. 3) 大島敏久,櫻庭春彦:蛋白質 核酸 酵素,54, 134 (2009).
  4. 4) K. Matsubara, Y. Yokooji, H. Atomi & T. Imanaka : Mol. Microbiol., 81, 1300 (2011).


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