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ユニークなセスクアテルペン(C35テルペン)生合成経路
今までに類のない新型と二機能性テルペン環化酵素の同定
Vol.50 No.9 Page. 622 - 623 (published date : 2012年9月1日)
概要原稿
テルペノイド(イソプレノイド)は,5万種類を超える天然有機化合物群であり,ホルモン,ビタミン,薬剤,香料,機能性食品素材などとして有用な生理活性物質も数多く知られている.炭素数5個のイソプレン単位によって,ヘミテルペン (C5), モノテルペン (C10), セスキテルペン (C15), ジテルペン (C20), セスタテルペン (C25), トリテルペン (C30) またはテトラテルペン (C40) に分類されるが,C35テルペンには長らく特別な分類名が存在しなかった.その大きな要因は,直鎖状C35イソプレノイドの環化を経て生合成される環状C35テルペンが最近まで見いだされていなかったことが考えられる.そのような背景のなか,最近になって直鎖状C35イソプレノイドの環化を経て生合成されると予想される(既存の分類体系に属さない)環状C35テルペンがBacillus属とMycobacterium属細菌から発見されてきた(1~7).酵素・遺伝子レベルの研究に進展があったBacillus属細菌のものを中心にご紹介する.
リファレンス
- 1) T. Bosak, R. M. Losick & A. Pearson : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 6725 (2008).
- 2) T. Sato, S. Yoshida, H. Hoshino, M. Tanno, M. Nakajima & T. Hoshino : J. Am. Chem. Soc., 133, 9734 (2011).
- 3) T. Sato, H. Hoshino, S. Yoshida, M. Nakajima & T. Hoshino : J. Am. Chem. Soc., 133, 17540 (2011).
- 4) T. Sato, A. Kigawa, R. Takagi, T. Adachi & T. Hoshino : Org. Biomol. Chem., 6, 3788 (2008).
- 5) T. Sato, R. Takagi, Y. Orito, E. Ono & T. Hoshino : Biosci. Biotechnol. Biochem., 74, 147 (2010).
- 6) T. Sato, K. Takizawa, Y. Orito, H. Kudo & T. Hoshino : ChemBioChem, 11, 1874 (2010).
- 7) T. Sato, E. Ono, M. Nakajima, C. Nakano & T. Hoshino : Tetrahedron Lett., 53, 2522 (2012).
- 8) 佐藤 努,山鹿宏彰,鹿島將志,中島真美,仲野千秋,星野 力:2012年度日本農芸化学会大会 (3A06a12)
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