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イネの形質転換効率向上方法の開発とその意義
イネ効率的相同組換え系の確立にむけて
Vol.50 No.9 Page. 629 - 630 (published date : 2012年9月1日)
概要原稿
植物における形質転換においては,現在アグロバクテリウムを介した遺伝子導入法が一般的な方法として用いられている(1).近年,培養手法の改良により形質転換効率が向上したイネのモデル品種の日本晴ではポストイネゲノムにおける遺伝子機能解析研究の材料として大規模な遺伝子の機能を破壊させたT-DNAの挿入ライブラリーやイネ FOX (Full-length cDNA over-expression) ライブラリーが作出され,多くの植物研究者により利用されている.さらに特定の遺伝子の機能解析に相同組換えによる遺伝子ノックアウト手法が植物においても可能になってきた(2).このような大規模形質転換系が利用されている植物はイネ,アラビドプシスなどのモデル植物だけである.基礎的な遺伝子機能解析研究などではモデル植物やモデル品種で十分ではあるが,実用化研究においてはコシヒカリなどの実用品種に汎用的に利用できる,効率の高い形質転換技術が望まれている.
リファレンス
- 1) Y. Hiei, S. Ohta, T. Komari & T. Kumashiro : Plant J., 6, 271 (1994).
- 2) R. Terada, Y. H. Johzuka, M. Saitoh, H. Asao & S. Iida : Plant Physiol., 144, 846 (2007).
- 3) K. Ozawa : Plant Sci., 176, 522 (2009).
- 4) K. Ozawa & F. Takaiwa : Plant Sci., 179, 333 (2010).
- 5) K. Ozawa, Y. Wakasa, Y. Ogo, K. Matsuo, H. Kawahigashi & F. Takaiwa : Plant Cell Physiol., 53(4), 755 (2012).
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