プロダクトイノベーション
清酒醸造と白髪染め
Vol.50 No.9 Page. 691 - 695 (published date : 2012年9月1日)
概要原稿
日本の食文化の特徴のひとつは,醤油,味噌,みりん,焼酎,清酒といった実に多くの,麹を利用した食品があることだろう.麹の起源は,東アジアの大陸部にあるといわれている.興味深いのは,日本の麹が単に大陸から伝来したものではなく,独自の発展を経て現在に至っている点だ.大陸の麹は,生の穀物を砕いて水を加え,それを練って成形し,クモノスカビ (Rhizopus sp.) やケカビ (Mucor sp.) を生育させたものが主流だ.一方,日本の麹は,蒸した穀物を成形せず,ばらばらの状態のままコウジカビ (Aspergillus sp.) を生育させたものである(1).こうした麹を利用する文化は今日の日本にもしっかり浸透し,しかも決して古風なわけではなく,最近では塩麹が若者に流行する現象も見られる.本稿ではこのような日本の麹をつくるコウジカビの一種で,清酒醸造において活躍する麹菌 (Aspergillus oryzae) に関する話題を取り上げる.
リファレンス
- 1) 村上英也,他:“麴学”, 財団法人日本醸造協会,1986, p. 1.
- 2) 村上英也,河合美登利:醸協,53, 88 (1958).
- 3) H. Obata, H. Ishida, Y. Hata, A. Kawato, Y. Abe, T. Akao, O. Akita & E. Ichishima : J. Biosci. Bioeng., 97, 400 (2004).
- 4) 小池謙造,秦 洋二:フレグランスジャーナル,38, 16 (2010).
- 5) 中村幸宏,山中寛之,秦 洋二,江波戸厚子,小池謙造:生物工学会誌,90, 115 (2012).
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