巻頭言
リオ+20,フクシマ+1.5 に思う―ムラから村へ―
Vol.50 No.10 Page. 699 - 699 (published date : 2012年10月1日)
冒頭文
この原稿はリオ+20が終了した直後に書いています.今回の会議では「グリーン経済」の理念は呈示されたものの,先進国と途上国との思惑の違いから,具体的な目標などを決めることはできなかったようです.そこでふと思い出し,+20の語源となった1992年のリオ環境サミットでの,当時12歳の少女,セヴァン・スズキさんの「伝説のスピーチ」をネットで聞き直してみました.“If you don't know how to fix it, please stop breaking it !” という彼女の願いに対して,私たちはこの20年間何をしてきたのだろうかと改めて考えさせられてしまいました.直せないもの,直し方がわからないものを壊さないようにするというのは当然なことです.折しも,わが国では原発事故からまだ1年半足らずのうちに,大飯原発の再稼働が始まりました.核燃料廃棄物のリサイクルができない,いやそれのみならず安全に廃棄・管理する手段・場所が確保されていないという状況の中で,原発エネルギーに依存し続けていくのか否かについて中長期的視点から真剣に議論されることを望むものです.私自身も,原発については安全なものだと思い込んでいました.そのように多くの国民を信じ込ませてきたのはいわゆる「原子力ムラ」の力が大きかったそうですが,専門分野が全く異なるとはいえ,科学に携わってきたものの一人として,今は自分の不明を恥じながらホットスポットが点在する茨城県南部で日々を送っています.
リファレンス
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