今日の話題

遺伝子探索による耐熱性キチン分解酵素の開発
構造学的アプローチによる機能解明

Vol.50 No.10 Page. 702 - 703 (published date : 2012年10月1日)
峯 昇平1, 中村 努1, 上垣 浩一1
  1. 産業技術総合研究所

概要原稿

キチンは地球上でセルロースに次ぐ生産量を占めるバイオマス資源である.キチンの分解産物であるグルコサミンには関節痛改善や美肌効果といった優れた特性が見いだされており,近年食品や医薬品といった幅広い分野に用いられている.ゆえに,カニやエビの大量投棄されている甲殻を構成する結晶性キチンを効率よく分解できるキチン分解酵素を発見・開発できればキチン系バイオマスの有効利用に役立つと考えられる.自然界に存在するさまざまな微生物の未利用遺伝子の中で,100℃近い高温環境で生育できる超好熱菌由来の酵素はたいへん高い安定性を有し,産業用酵素としての可能性を秘めている.しかしながら超好熱菌由来のキチン分解酵素群に関する報告は,田中らによる超好熱菌Thermococcus kodakaraensisの遺伝子および酵素学的性質に関する報告のみであった(1).ここでは,超好熱菌由来のキチン分解酵素について,最近の知見を紹介する.

リファレンス

  1. 1) T. Tanaka et al. : J. Biol. Chem., 279, 30021 (2004).
  2. 2) T. Nakamura et al. : Acta Crystallogr. Sect. F, 61, 476 (2005).
  3. 3) T. Oku & K. Ishikawa : Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, 1696 (2006).
  4. 4) S. Mine et al. : J. Mol. Biol., 381, 670 (2008).
  5. 5) S. Mine et al. : Acta Crystallogr. Sect. F, 63, 7 (2007).
  6. 6) H. Tsuji et al. : FEBS J., 277, 2683 (2010).


本文はトップページからログインをして頂くと表示されます。