セミナー室 / 食品の官能評価法

製品開発の官能評価
分析型パネルと嗜好型パネルの違いについて

Vol.50 No.10 Page. 742 - 747 (published date : 2012年10月1日)
國枝 里美1
  1. 高砂香料工業株式会社研究開発本部

概要原稿

官能評価技術に対する誤解を招いていることがあるとすれば,それは,科学的根拠を示すための手法(手段)が同じであるのにもかかわらず,この技術が適用されている分野,領域があまりにも広いために,対象となる試料とパネル(評価する集団)が個々に設定されることで,適用される手法が同じであっても結果の読み方や結論への導き方が異なるという点にあるのではないだろうか.官能評価実験の結果の妥当性に対する判断には,刺激となる試料の物理的あるいは化学的特性はもちろんのこと,パネルの生理的あるいは心理的特性のどちらもがかかわる点,また,それらの結果の目安となる統計量への理解などから,官能評価を行う担当者がさまざまな知識を要する必要がある.しかしながら,国内では近年,産業界での利用が主となり,開発品の情報漏えいなどへの危惧から,実験の詳細はノウハウとして明らかにされることが少なくなり,この技術に対する理解不足が否めない状況にあると言える.本稿では,これから官能評価に取り組もうとする読者のために,食品や飲料の製品開発で実際に用いられている事例を紹介しながら,理解を深めることにつなげたい.

リファレンス

  1. 1) 日本官能評価学会編:“官能評価士テキスト”,建帛社,2009, pp. 85–100.
  2. 2) 日科技連官能評価セミナーテキスト (2007).
  3. 3) 國枝里美:アロマリサーチ,Vol. 1, 90 (2000).
  4. 4) 浦 昭二:品質管理,8, (1957).
  5. 5) A. Schindler et al. : J. Agric. Food Chem., 59, 12578 (2011).
  6. 6) 國枝里美:“第21回日科技連官能検査シンポジウム発表報文集”,1991, pp. 237–244.
  7. 7) 土屋隆裕:“社会教育調査ハンドブック”,文憲堂,2005, pp. 57–60.
  8. 8) 國枝里美:食品と技術,11 (2008).
  9. 9) 國枝里美他:“第17回研究発表会講演集”,2008, pp. 101–109.
  10. 10) 國枝里美:食品工業,Vol. 40, 57 (1997).


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