セミナー室 / 放射性降下物の農畜水産物等への影響

菌類による放射性セシウムの吸収・蓄積

Vol.50 No.10 Page. 748 - 751 (published date : 2012年10月1日)
齋藤 雅典1, 山田 明義2, 松田 陽介3, 大和 政秀4
  1. 東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  2. 信州大学農学部
  3. 三重大学大学院生物資源学研究科
  4. 鳥取大学農学部

概要原稿

福島原発由来の放射セシウム(以下Cs)は,福島県のみならず,東日本の広い範囲を汚染し,露地で栽培される多くの農作物の出荷が制限された.今春になってからも,山菜やキノコなど新たな品目での出荷制限や自粛が行われている.比較的低濃度の汚染地帯の水田・畑作では,土壌を耕起することによって放射性Csが土壌粘土鉱物に強く吸着され,移行係数が低下し,植物には容易には吸収されなくなる(本セミナー室・吉岡氏らの論文を参照).農地土壌においては,放射性Csが5,000 Bq/kg以下であれば,作物への放射性Cs吸収抑制のために耕起が推奨されている(1).しかし,森林や永年草地のように土壌が耕起されない条件,また露地条件にあるキノコ原木栽培では,土壌や原木の表層に沈着した放射性Csが容易に植物や菌類に吸収される.

リファレンス

  1. 1) 農林水産省:“農地土壌除染技術適用の考え方”,2011.
  2. 2) 文部科学省:“森林内における放射性物質の移行調査”,2011.
  3. 3) 吉田 聡・村松康行:日菌報,37, 25 (1996).
  4. 4) 齋藤雅典:化学と生物,42, 252 (2004).
  5. 5) M. C. Duff & M. L. Ramsey : J. Environ. Radioactivity, 99, 912 (2008).
  6. 6) M. Steiner, I. Linkov & S. Yoshida : J. Environ. Radioactivity, 58, 217 (2002).
  7. 7) 山田明義・松田陽介:日本きのこ学会誌,in press.
  8. 8) K. Haselwandter : Health Physics, 34, 713 (1978).
  9. 9) T. Ban-nai, S. Yoshida, Y. Muramatsu & A. Suzuki : J. Nucl. Radiochem. Sci., 6, 111 (2005).
  10. 10) J. Aqvist & V. Luzhkov : Nature, 404, 881 (2000).
  11. 11) 広井 勝他:菌学会56会大会講演要旨集,2012, p. 32.
  12. 12) H. Sugiyama et al. : J. Agric. Food Chem., 56, 9641 (2008).
  13. 13) 坂本一憲他:土肥誌,83, 216 (2012).
  14. 14) H. Dupré de Boulois et al. : Environ. Microbiol., 8, 1926 (2006).
  15. 15) E. J. Joner : Appl. Environ. Microbiol., 70, 6521 (2004).
  16. 16) H. Dupré de Boulois, B. Delvaux & S. Declerck : Environ. Poll., 134, 515 (2005).
  17. 17) V. Gyuricza, H. Dupré de Boulois & S. Declerck : J. Environ. Radioactivity, 101, 482 (2010).
  18. 18) R. D. Rogers & S. E. Williams : Soil Biol. Biochem., 18, 371 (1986).
  19. 19) K. Rosén, Z. Weiliang & A. Mårtensson : Sci. Total Environ., 338, 283 (2005).
  20. 20) M. Berreck & K. Haselwandter : Mycorrhiza, 10, 275 (2001).
  21. 21) 山口紀子他:農業環境技術研究所報告,31, 75 (2012).
  22. 22) 根田 仁他:農業及び土壌の放射能汚染対策技術国際研究シンポジウム講演要旨集,2012, p. 30.
  23. 23) K. Rosén et al. : J. Environ. Radioactivity, 102, 178 (2011).
  24. 24) 林野庁:“きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の改正について”, 2012.


本文はトップページからログインをして頂くと表示されます。