セミナー室 / 放射性降下物の農畜水産物等への影響

魚肉の汚染とその低減対策

Vol.50 No.10 Page. 752 - 755 (published date : 2012年10月1日)
渡部 終五1,2
  1. 北里大学海洋生命科学部
  2. 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻

概要原稿

2011年(平成23年)の3月11日に東北太平洋沖に発生した大地震は大津波をもたらし,多くの方々が被災し,幾多の人命が奪われた.また,大津波による東京電力福島第一原子力発電所の電源喪失は放射性物質の大量放出をもたらし,周辺地域のみならず,東日本の広い範囲で大きな被害を受けた.この東日本大震災は,沿岸地域の水産業および関連産業にも壊滅的な損害を与えるとともに,放出された放射性物質は沿岸の魚介類のみならず,内水面の水生生物をも汚染し,この面でも水産業に大きな被害をもたらした.この原子力発電所の事故によって放出された放射性核種のなかで,放射性ヨウ素の131Iおよび133Iのように,半減期がそれぞれ8.06日および20.8時間と短い放射性核種では短期的な影響で済むものの,放射性セシウムの134Csおよび137Csでは半減期がそれぞれ2.06年および30.1年と長く,長期的に大きな影響をもたらすことが危惧されている.

リファレンス

  1. 1) 独立行政法人水産総合研究センター:“水生生物における放射性物質の挙動について.調査結果概要”,2012.
  2. 2) 渡邊朝生,藤本 賢:“放射性物質影響解明調査事業報告書”,独立行政法人水産総合研究センター,2012, pp. 13–16
  3. 3) 渡邊朝生,藤本 賢:“放射性物質影響解明調査事業報告書”,独立行政法人水産総合研究センター,2012, pp. 17–18.
  4. 4) D. J. Madigan, Z. Baumannb & N. S. Fisher : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, 9483 (2012).
  5. 5) 佐伯誠道,岡野真治,森高次郎:日水誌,20, 902 (1955).
  6. 6) 渡部終五,松岡洋子,中谷操子,潮 秀樹,根本芳春,佐藤美智男,田野井慶太朗,中西友子:RADIOISOTOPES, in press.
  7. 7) 藤本 賢,重信裕弥,渡邊朝生:“放射性物質影響解明調査事業報告書”,独立行政法人水産総合研究センター,2012, pp. 19–121.
  8. 8) 佐伯誠道:日水誌,23, 729 (1958).
  9. 9) F. Furukawa, S. Watanabe & T. Kaneko : Fish. Sci., doi: 10.1007/s12562-012-0492-6 (2012).


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