記念シンポジウム
/ 農芸化学の伝統と先端生命科学の進展
微生物が支えるビタミン類の工業生産
Vol.50 No.10 Page. 768 - 772 (published date : 2012年10月1日)
概要原稿
ビタミンは,本来,動物が生合成できないもので,微量で代謝に必須な役割を果たす一群の化合物に対して与えられた総称である.微生物の多くは独自にビタミンを合成できるので,ビタミンの供給源としての利用がこれに求められた.これが,ビタミン類生産研究の原点といえる.さらに,増殖の速さや取り扱いの容易さは,微生物に利用価値の高い供給源としての位置を与えた.また,ビタミン類の生合成に関する研究も多くが微生物を素材として行われたこと,これらの研究を通してビタミン類の合成・変換に有用な多くの反応や酵素が見いだされたことも,今日,ビタミン類の生産で微生物学的手法が広く採用されている所以である.
リファレンス
- 1) 片桐英郎:“鈴木梅太郎先生伝”,(財)鈴木梅太郎博士顕彰会(編),朝倉書店,1967, p. 326.
- 2) (財)バイオインダストリー協会発酵と代謝研究会(編):“発酵ハンドブック”,共立出版,2001, p. 27, 161, 257, 267, 313, 325.
- 3) 櫻谷英治,安藤晃規,小川 順,清水昌:蛋白質 核酸 酵素,54, 725 (2009).
- 4) 清水 昌,森川忠則,新田一誠,坂本恵司,和田浩一:日本化学会誌(化学と工業化学),1, (2002).
- 5) S. Shimizu : “Biotechnology”, Vol. 10, G. Reed, H.-J. Rehm, VCH. Weinheim, 2001, p. 320.
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