今日の話題

酸化コレステロールと脂質代謝の変動
動物性加工食品の偏食には注意を

Vol.50 No.11 Page. 783 - 785 (published date : 2012年11月1日)
長田 恭一1
  1. 明治大学農学部農芸化学科

概要原稿

1990年の中頃に酸化コレステロールの研究を始めたころは,酸化コレステロールって何? 酸化LDLの間違いでは? などと日本ではあまり認知されていなかったが,1980年代にはすでに米国を中心に動脈硬化研究では注目されている酸化脂質であった.また,脂質代謝を調節する内因性酸化コレステロールとバインディングプロテインとの関係についての研究も始まっており,学会では,食品に酸化コレステロールがあるのか? あるいは,食事由来の酸化コレステロールと生体内で産生する酸化コレステロールの分子種の違いについて全く理解されていないような質問をいただいたこともあった.しかし,現在ではわが国でも医療の現場,特に循環器系分野では,粥状動脈硬化巣に7-ketocholesterolが多く検出されることや,血中に7β-hydroxycholesterolがよく検出されるため,それぞれの化合物が疾病との関係あるいは疾病発症のマーカーになるのではないかと注目される酸化脂質になっている.

リファレンス

  1. 1) I. Staprans, X. M. Pan, J. H. Rapp & K. R. Feingold : Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 18, 977 (1998).
  2. 2) K. Osada, E. Sasaki & M. Sugano : Lipids, 29, 555 (1994).
  3. 3) 熊田紀子,山中智史,照沼彰一郎,長田恭一:脂質生化学研究,52, 119 (2010).
  4. 4) T. Sasaki, Y. Fujikane, Y. Ogino, K. Osada & M. Sugano : J. Oleo Sci., 59, 503 (2010).
  5. 5) Y. Ogino, K. Osada, S. Nakamura, Y. Ohta, T. Kanda & M. Sugano : Lipids, 42, 151 (2007).
  6. 6) K. Osada, T. Kodama, K. Yamada, S. Nakamura & M. Sugano : Lipids, 33, 757 (1988).


本文はトップページからログインをして頂くと表示されます。