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天然変性タンパク質による光合成調節の新規分子メカニズム
複合体形成によるCP12立体構造の安定化
Vol.50 No.11 Page. 786 - 788 (published date : 2012年11月1日)
松村 浩由1,
田茂井 政宏2,
重岡 成2
- 大阪大学大学院工学研究科
- 近畿大学農学部バイオサイエンス学科
概要原稿
「タンパク質の立体構造はアミノ酸配列に応じて決定される」という概念は,「アンフィンセンのドグマ」と呼ばれ,生物学・医学の分野で広く受け入れられてきた.しかし,ここ数年,この通念に反するタンパク質,すなわち天然変性タンパク質の存在が注目されている.天然変性タンパク質とは,その名のとおり天然(単独)では変性(特定の立体構造を形成しない)状態のタンパク質の総称であり,標的タンパク質に結合することによってのみ特定の立体構造を形成する.また,異なる標的タンパク質に結合でき,その結合した部分はそれぞれ標的タンパク質に応じた立体構造を形成する.このように,従来のタンパク質の構造構築モデルとは異なる天然変性タンパク質に注目が集まっているが,生理的にどのような役割を果たしているのかについてはいまだ不明な点が多い.
リファレンス
- 1) P. E. Wright & H. J. Dyson : J. Mol. Biol., 293, 321 (1999).
- 2) M. Tamoi, T. Miyazaki, T. Fukamizo & S. Shigeoka : Plant J., 42, 504 (2005).
- 3) N. Wedel & J. Soll : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 9699 (1998).
- 4) L. Marri, P. Trost, X. Trivelli, L. Gonnelli, P. Pupillo & F. Sparla : J. Biol. Chem., 283, 1831 (2008).
- 5) B. B. Buchanan : Arch. Biochem. Biophys., 288, 1 (1991).
- 6) H. Matsumura, A. Kai, T. Maeda, M. Tamoi, A. Satoh, H. Tamura, M. Hirose, T. Ogawa, N. Kizu, A. Wadano et al. : Structure, 19, 1846 (2011).
- 7) T. P. Howard, M. Metodiev, J. C. Lloyd & C. A. Raines : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 4056 (2008).
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