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ユーグレナミトコンドリアの糖代謝系におけるユニークな酵素
特殊な融合型酵素が映し出すミトコンドリアの進化
Vol.50 No.11 Page. 789 - 791 (published date : 2012年11月1日)
中澤 昌美1,
宮武 和孝1
- 大阪府立大学生命環境科学部
概要原稿
ユーグレナは一般的にミドリムシと呼ばれる,単細胞真核生物である.植物と動物の中間の生物,と考えられている本生物の代謝系は動物・植物の両方の性質を反映したものであるが,それに加えてミトコンドリアの糖代謝系に,従来ほかの生物で存在が知られていなかった酵素を数多くもつことが明らかになってきた.図1に示すようにユーグレナのミトコンドリアには,ほかの生物では発見されていない代謝酵素や特殊な構造をもった酵素が多く存在する.本稿では特に,異なる2つの機能ドメインが融合して構成された酵素の例として,ピルビン酸代謝およびグリオキシル酸経路を担う酵素に注目して述べる.
リファレンス
- 1) M. Nakazawa, H. Inui, R. Yamaji, T. Yamamoto, S. Takenaka, M. Ueda, Y. Nakano & K. Miyatake : FEBS Lett., 479, 155 (2000).
- 2) C. Rotte, F. Stejskal, G. Zhu, J. S. Keithly & W. Martin : Mol. Biol. Evol., 18, 710 (2001).
- 3) M. Hoffmeister, A. van der Klei, C. Rotte, K. W. A. van Grinsven, J. J. van Hellemond, K. Henze, A. G. M., Tielens & W. Martin : J. Biol. Chem., 279, 22422 (2004).
- 4) M. Nakazawa, T. Minami, K. Teramura, S. Kumamoto, S. Hanato, S. Takenaka, M. Ueda, H. Inui, Y. Nakano & K. Miyatake : Comp. Biochem. Physiol. B : Biochem. Mol. Biol., 141, 445 (2005).
- 5) M. Nakazawa, M. Nishimura, K. Inoue K, M. Ueda, H. Inui, Y. Nakano & K. Miyatake : J. Eukaryot. Microbiol., 58, 128 (2011).
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