「化学と生物」文書館
未解明微生物現象の究明と発酵産業
Vol.50 No.11 Page. 835 - 839 (published date : 2012年11月1日)
概要原稿
「文書館」への執筆依頼を受けたとき,筆者の頭の中の関心ごとは,2度目の職を定年退職後1年以上経過していて,すでに“微生物”に替わり,趣味の研究“昆虫”が占有していた.これを元に戻して,微生物に関することを書くのは難しいと脳がつぶやいた.ところが,当時の編集委員長の村田幸作先生からの歯が浮くような依頼の文面が刺激して,脳内ではすぐに再置換が始まった.「先生は,発酵産業において生産に支障をきたすさまざまな微生物現象に焦点を当てられ,その解明を通して発酵産業の健全な育成に資する大きな成果を上げてこられました.また,その研究の過程で,新規な,特異的な微生物機能を数々見いだされ,応用微生物学の発展に資する基礎的応用的業績も残されました.中略」.「できましたら『未解明微生物現象の究明と発酵産業』に焦点をあてていただき,先生がこのご研究を志された経緯や研究の進め方などを,研究室の歴史,その当時研究に関わられた方々の様子,以下略」.さらに,依頼文は,私自身が研究生活を半世紀にわたって続けられたのは,基礎と応用を気軽に行き来できる農芸化学分野に身を置けたからだと再認識させてくれた.“人生私流”を公開するのは恐縮であるが,タイトルと趣意をそのままいただき,引き受けることにした.
リファレンス
- 1) 緒方靖哉:日本放線菌学会誌,20, 36 (2006).
- 2) 緒方靖哉:農化,76, 102 (2002).
- 3) S. Ogata & H. Hongo : “Advances in Applied Microbiology”, Vol. 25, ed. By D. Perlman, Academic Press Inc., 1979, p. 177.
- 4) S. Ogata : Biotechnol. Bioeng., 22 (Suppl. 1), 1;177 (1980).
- 5) 緒方靖哉ら:ウイルス,50, 17 (2000).
- 6) 土居克実ら:“乳酸菌とビフィズス菌のサエンス”,日本乳酸菌学会編,京都大学学術出版会,2010, p. 431.
- 7) 緒方靖哉:「溶菌酵素」船津 勝,鶴 大典編,講談社,1977, p. 129.
- 8) S. Ogata : Actinomycetology, 15, 40 (2001).
- 9) K. Doi : Actinomycetology, 19, 27 (2005).
- 10) 横山英之,緒方靖哉:化学と生物,38, 804 (2000).
- 11) F. Inagaki et al. : Appl. Microbiol. Biotechnol., 60, 601 (2003).
- 12) 土居克実ら:化学と生物,42, 326 (2004).
- 13) K. Doi et al. : Appl. Environ. Microbiol., 75, 2406 (2009).
- 14) S. Iwai et al. : ISME J., 4, 809 (2010).
- 15) 緒方靖哉:生物工学,89(7), 巻頭言 (2011).
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