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人工甘味料 - 甘味受容体間における相互作用メカニズムの解明
低分子甘味料の受容様式は非常に多様である

Vol.50 No.12 Page. 859 - 861 (published date : 2012年12月1日)
三坂 巧1
  1. 東京大学大学院農学生命科学研究科

概要原稿

食品の味は嗜好性を決定する大きな要因である.われわれは舌の上に存在する味蕾(みらい)という組織を介して,食品に含まれる呈味物質を識別している.味蕾に含まれる味細胞が味物質を認識できるのは,それぞれの細胞に味物質を受け取るための受容体が備わっているからである.味にかかわる研究においてはかなり古くからそのような受容体の存在が仮定されてはいたものの,味覚受容体の実体が最初に明らかにされたのはたった10年ほど前のことである(1).現在では,五基本味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)を受容するそれぞれの味覚受容体が明らかにされている(2).この発見により,各々の味覚受容体がどのような物質に対して応答するか,またどのように活性が調節されているかといった研究を実施することが可能となってきたため,味覚に関連する研究分野はこの数年間で,大いに進展した.

リファレンス

  1. 1) E. Adler et al. : Cell, 100, 693 (2000).
  2. 2) D. A. Yarmolinsky, C. S. Zuker & N. J. P. Ryba : Cell, 139, 234 (2009).
  3. 3) R. S. Shallenberger & T. E. Acree : Nature, 216, 480 (1967).
  4. 4) G. Nelson et al. : Cell, 106, 381 (2001).
  5. 5) X. Li et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 4692 (2002).
  6. 6) W. Meyerhof et al. : Chem. Senses, 35, 157 (2010).
  7. 7) H. Xu et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 101, 14258 (2004).
  8. 8) N. Kunishima et al. : Nature, 407, 971 (2000).
  9. 9) K. Masuda et al. : PLoS One, 7, e35380 (2012).
  10. 10) M. Behrens & W. Meyerhof : Physiol. Behav., 105, 4 (2011).
  11. 11) G. A. Kyriazis, M. M. Soundarapandian & B. Tyrberg : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, E524 (2012).


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