セミナー室 / 食品の官能評価法

フレーバーホイール専門
パネルによる官能特性表現

Vol.50 No.12 Page. 897 - 903 (published date : 2012年12月1日)
宇都宮 仁1
  1. 国税庁

概要原稿

ある飲料が与えられたとき,その味やにおいの質を言葉で説明するには,どうすればよいだろうか? 味については,甘味,酸味,塩味,苦味,うま味の5つの基本味があり,口あたり(mouthfeel, 舌,歯茎および歯を含む口内で知覚される触覚などの総合的感覚(1))として,カプサイシンなどの刺激と温感,メントールなどの冷感,タンニンなどの収れん,粘性などがあるが,これらの用語の数は少ない.一方,においについての表現は多彩で,多数の用語が使用されるだろう. においの表現には,「華やか」「新鮮」「さわやか」といった情緒的表現,「甘い」「重い」「刺激的」といったほかの感覚を用いた表現もあるが,具体的なものの名前を使用して表現するほうが質感を共有しやすい.また,さまざまなにおいを表現するためには,まず同質なにおいを大まかにとらえ,さらに詳細に違いを表現することが行われる.果物を連想するにおいは「りんご」でも「バナナ」でもとりあえず「フルーティ」としておき,「りんご」に似たにおい特性が強ければ「フルーティ・りんご」と表現する方法である.

リファレンス

  1. 1) 日本工業規格:JIS Z8144 : 2004, 官能評価分析―用語
  2. 2) 川崎通昭,中島基貴,外池光雄:“アロマサイエンスシリーズ21[6] におい物質の特性と分析・評価”,フレグランスジャーナル社,2003, p. 154.
  3. 3) ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)編:“BCOJ官能評価法”,日本醸造協会,2002.
  4. 4) M. K-Y. Lee et al. : J. Inst. Brew., 107, 287 (2001).
  5. 5) A. C. Nobel et al. : Am. J. Enol. Vitc., 38, 143 (1987).
  6. 6) Special Coffee Association of America : Coffee taster's flavor wheel
  7. 7) Chocolopolis 社,Felchlin社など.
  8. 8) M. L. Piana et al. : Apidologie, 35, S26 (2004).
  9. 9) 大塚健一:“きき酒のはなし”,技報堂出版,1992.
  10. 10) 斉藤幸子,綾部早穂:臭気の研究,33, 1 (2002).
  11. 11) 山野善正,山口静子編:“おいしさの科学”,朝倉書店,1997, p. 129.
  12. 12) 佐藤 信:“美酒の設計図”,大日本図書,1974, p. 105.
  13. 13) 灘酒研究会:“改定灘の酒用語集”,灘酒研究会,1997.
  14. 14) Europe Brewery Convention : “Analytica-EBC,” Fachverlag Hans Carl, 2005.
  15. 15) 宇都宮 仁,磯谷敦子,岩田 博:醸協,99, 652 (2004).
  16. 16) 宇都宮 仁,磯谷敦子,岩田 博:醸協,99, 729 (2004).
  17. 17) 宇都宮 仁,磯谷敦子,岩田 博:醸協,105, 106 (2010).
  18. 18) 宇都宮 仁,磯谷敦子,岩田 博,中野成美:酒類総合研究所報告,178, 45 (2006).
  19. 19) 宇都宮 仁,磯谷敦子,中野成美:日本味と匂学会誌,13, 595 (2006).


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