「化学と生物」文書館
環境バイオ
分解菌の新機能を探る
Vol.51 No.1 Page. 46 - 51 (published date : 2013年1月1日)
概要原稿
筆者が大学を出た1960年代はわが国の高度経済成長期とも相まって日本列島のあちこちで公害問題が発生した.関門トンネルを抜けて北九州に入ると工業地帯,そびえ立つ煙突からの七色の煙を観光宣伝する市の広告を覚えている.公害の原点とされる有機水銀による水俣病,カドミウム汚染によるイタイイタイ病,四日市ぜんそくなどに代表される大気汚染,水質汚染,土壌汚染が大きな社会問題となっていた.筆者は九大農学研究科修士課程を中退,1967年,当時,千葉の稲毛にあった工業技術院発酵研究所(後の微生物工業技術研究所,現 産業総合研究所)に勤務,合成有機系微生物研究室に配属された.外村健三先生(大阪府立大学名誉教授)のもとで水銀耐性菌の研究を開始した.その後,ポリ塩化ビフェニル (PCB), トリクロロエチレン (TCE), テトラクロロエチレン (PCE) など,世界的に大きな環境問題となった難分解性有機化合物の微生物分解が筆者のライフワークとなった.文書館の場をお借りして,これまでの研究の一端をその時代背景とともに記述したい.
リファレンス
- 1) K. Tonomura, T. Nakagawa, F. Futai & M. Maeda : Nature, 217, 644 (1968).
- 2) K. Furukawa, T. Suzuki & K. Tonomura : Agric. Biol. Chem., 33, 128 (1969).
- 3) K. Furukawa & T. Miyazaki : J. Bacteriol., 166, 392 (1986).
- 4) K. Taira, J. Hirose, S. Hayashida & K. Furukawa : J. Biol. Chem., 267, 4844 (1992).
- 5) B. D. Erickson & F. J. Mondello : J. Bacteriol., 174, 2903 (1992).
- 6) W. P. C. Stemmer : Nature, 370, 389 (1994).
- 7) T. Kumamaru, H. Suenaga, M. Mitsuoka, T. Watanabe & K. Furukawa : Nature Biotechnol., 16, 663 (1998).
- 8) A. Suyama, R. Iwakiri, N. Kimura, A. Nishi, K. Nakamura & K. Furukawa : J. Bacteriol., 178 (1996).
- 9) 三沢典彦,古川謙介,新藤一敏:バイオサイエンスとバイオインダストリー,63, 13 (2005).
- 10) A. Suyama, R. Iwakiri, K. Kai, T. Tokunaga, N. Sra & K. Furukawa : Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 1474 (2001).
- 11) H. Nonaka, K. Furukawa, H. Yukawa et al. : J. Bacteriol., 188, 2262 (2006).
- 12) 古川謙介:生物工学会誌,89, 549 (2011).
- 13) A. Nishi, K. Tominaga & K. Furukawa : J. Bacteriol., 182, 1949 (2000).
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