解説

新規な酵母プリオンタンパク質Mod5の凝集が生存に有利に働くことを発見

Vol.51 No.4 Page. 228 - 233 (published date : 2013年4月1日)
鈴木 元治郎1, 田中 元雅1
  1. 理化学研究所脳科学総合研究センター

概要原稿

プリオンとはタンパク質による遺伝因子のことであり,凝集したタンパク質が自らを鋳型として,可溶性のタンパク質を凝集体へと構造変化させることによって,伝播・感染すると考えられている.哺乳類では狂牛病やスクレイピーなどのプリオン病がプリオンによって伝播すると考えられているが,酵母においてもこれまでに複数のプリオン(酵母プリオン)が見いだされてきた.哺乳類ではプリオン病の病因としての負の面が強調されるプリオンであるが,近年,出芽酵母ではプリオンとなる凝集体を形成する(プリオン化)タンパク質が次々に発見されてきており,酵母プリオンは積極的に何らかの生理的な役割を果たしているという考えが提唱されている.しかし,どのような細胞機能を果たしているか,また,どのような機構で酵母がプリオン化をその細胞機能に利用しているかは不明である.本解説では,酵母プリオンに関する最新の知見とプリオンが果たす生理学的な役割について紹介するとともに,筆者らが発見した新規酵母プリオンによる抗真菌剤耐性獲得機構について紹介する.

リファレンス

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  18. 18) A. L. Benkoet al.:Proc. Natl. Acad. Sci. USA,97, 61 (2000).


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