セミナー室 / 海洋生物資源への期待:マリンバイオテクノロジーの現場から

深海微生物に期待!

Vol.51 No.2 Page. 104 - 110 (published date : 2013年2月1日)
秦田 勇二1, 宮崎 征行1, 大田 ゆかり1
  1. 海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域

概要原稿

地球表面の7割は海洋が占め,さらに,海洋の平均深度は3,800 mであり,海洋は莫大な体積(生命保持領域)を抱えていると言える.地球上の炭素の分配を見ても海洋中に含まれる炭素比率は陸上と比較して17倍多いと計算される.生物は海洋から発生し進化を続け,多様性を創り上げてきた.したがって,海洋には数限りない種類の生体触媒が存在している.それらの生体触媒から,人々の生活を豊かにする生体触媒(酵素など)を探し出すことに大きな可能性と使命を感じる.深海は暗闇,低温(4℃前後)で高水圧の環境である.20世紀後半以降の潜水艇の開発に伴い深海の様子が少しずつ明らかになってきた(しかしいまだわからないことだらけの謎の世界である).筆者らが所属する海洋研究開発機構では有人潜水調査船(図1)や深海探査機などを用いて深海の謎の解明に挑んでおり,深海調査成果の一つとして,深海領域は微生物に関しても多大な新規性と多様性に満ちていることがわかってきた.筆者らはバイオリソースとして大きな可能性を秘めている深海微生物を対象に新規有用酵素の探索を試みている.そのいくつかの取り組みを紹介させていただく.

リファレンス

  1. 1) M. Miyazaki et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 58, 1128 (2008).
  2. 2) Y. Ohta et al. : Biosci. Biotechno.l Biochem., 68, 1073 (2004).
  3. 3) Y. Ohta et al. : Appl. Microbiol. Biotechnol., 66, 266 (2004).
  4. 4) Y. Hatada et al. : Mar. Biotechnol., 13, 411 (2011).
  5. 5) Y. Hatada et al. : J. Agric. Food Chem., 54, 9895 (2006).
  6. 6) E. Rebuffet et al. : Biochemistry, 49, 7590 (2010).
  7. 7) Y. Ohta & Y. Hatada : J. Biochem., 140, 475 (2006).
  8. 8) 秦田勇二,大田ゆかり:財団法人アサヒビール学術振興財団研究紀要,22, 23 (2009).
  9. 9) 飯塚堯介監修:“ウッドケミカルスの新展開”,シーエムシー出版,2007.
  10. 10) D. Floudas et al. : Science, 336, 1715 (2012).
  11. 11) V. Valásková et al. : ISME J., 3, 1218 (2009).
  12. 12) Y. Ohta et al. : OJMS, 2, 177 (2012).
  13. 13) Y. Ohta et al. : Curr. Microbiol., 50, 212 (2005).
  14. 14) Y. Hatada et al. : Enz. Microbial. Tech., 39, 1333 (2006).
  15. 15) V. S. Hung et al. : Appl. Microbiol. Biotechnol., 68, 757 (2005).


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