今日の話題

ナミアゲハの産卵刺激物質を認識する味覚受容体
チョウと植物を結ぶ絆を化学感覚の仕組みから解明する

Vol.51 No.3 Page. 141 - 146 (published date : 2013年3月1日)
尾崎 克久1, 龍田 勝輔1, 吉川 寛1
  1. JT生命誌研究館

概要原稿

現在,学名がつけられている全生物種(動物のみではなく,植物・菌類・原生生物など,すべての生物を含む)は約200万種とされているが,昆虫がその過半数を超えている.多種多様な昆虫の生活史もさまざまで,本能行動の規則的な連鎖で構築される複雑な生命現象は,ダーウィン進化論を否定するつもりはなくとも,本当に偶然の積み重ねだけで成り立つものなのかと疑問を抱いてしまうほど巧妙である.昆虫は化合物を認識することで外界の情報を得て,寄主選択・配偶行動・集団生活の維持・社会性の構築など,生存上重要となるさまざまな場面で利用しているので,化合物を認識する仕組みを解明することができれば,生命現象をより深く理解することができるはずである.

リファレンス

  1. 1) T. Ohsugi, R. Nishida & H. Fukami : Applied Entomology and Zoology, 26, 29 (1991).
  2. 2) K. Ozaki, A. Utoguchi, A. Yamada & H. Yoshikawa : Insect Biochem. Mol. Biol., 38, 969 (2008).
  3. 3) K. Ozaki, M. Ryuda, A. Yamada, A. Utoguchi, H. Ishimoto, D. Calas, F. Marion-Poll, T. Tanimura & H. Yoshikawa : Nat. Commun., 2, 542 (2011), doi : 10.1038/ncomms1548.


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