バイオサイエンススコープ

薬が作用するということ
核内受容体PPARγ 研究からの私的考察

Vol.51 No.3 Page. 193 - 195 (published date : 2013年3月1日)
白木 琢磨1
  1. 近畿大学生物理工学部

概要原稿

PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)ファミリーには α, β/δ, γ の3種類が存在する.ペルオキシソームの増殖活性があることが知られていたフィブラート系薬剤の標的として見つかったことから,PPARα という名前がつけられた(1).PPARγ は遺伝子同定後しばらくリガンド未知であったが,2型糖尿病改善作用のあるチアゾリジン化合物がPPARγ に対するリガンドであることが同定され,にわかにこの分子が脚光を浴びた.また,脂肪細胞の分化誘導にかかわる転写因子を解析した結果,PPARγ 遺伝子にたどり着いていたこともこの分子のスター性を上げたと言える(2).実際に,大手製薬会社だけでなく世界中の研究室でPPARγ 作動薬の探索がなされ,数多く報告されている.

リファレンス

  1. 1) I. Issemann & S. Green : Nature, 347, 645 (1990).
  2. 2) P. Tontonoz et al. : Genes & Dev., 8, 1224 (1994).
  3. 3) 白木琢磨;日本バイオインフォマティクス学会ニュースレター,19,2 (2009).
  4. 4) C. Shionyu-Matsuyama et al. : C. PEDS, 24, 397 (2011).
  5. 5) T. Waku et al. : EMBO J., 29, 3395 (2010).
  6. 6) H. Ledford : Nature, 466, 420 (2010).
  7. 7) 松居竜五:週刊読書人,第2921号 (2012).


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