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古くて新しい調味料「魚醤」
速醸魚醤の生産とその利用

Vol.52 No.3 Page. 151 - 152 (published date : 2014年3月1日)
宇多川 隆1
  1. 福井県立大学生物資源学部

概要原稿

魚醤は東南アジアを中心に広く使われている調味液で,発酵した魚からアミノ酸やペプチドが遊離し,独特の旨みを呈する.旨みの主役は l-グルタミン酸などの遊離アミノ酸であるが,約20種類のアミノ酸は魚の種類によって組成が異なり,さまざまな味を楽しむことができる.タイの魚醤である「ナンプラー」はアンチョビ(カタクチイワシ)などを,ベトナム魚醤の「ニョクナム」はアンチョビやアジなどが原料として使われている.日本では秋田のハタハタを主な原料とする「しょっつる」や能登のイカの内臓やイワシを使った「いしる」が知られている.これらの魚醤は秋田や石川の郷土料理に用いられているが全国的にはあまり普及していない.一方で,独特の風味をもつ魚醤は,日本でもさまざまな調味料の隠し味として使われており,海外から約5,000 tが輸入されている.

リファレンス

  1. 1) CODEX STAN 302-2011, STANDARD FOR FISH SAUCE.
  2. 2) 福井県立大学:特開公報2011-182663.
  3. 3) 宇多川 隆:日本醸造協会誌,107,477 (2012).
  4. 4) 福井県立大学:特開公報2013-138654.


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