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細菌細胞膜の新しいマイクロドメイン
高度不飽和炭化水素鎖をもつリン脂質の局在化

Vol.51 No.6 Page. 358 - 360 (published date : 2013年6月1日)
栗原 達夫1, 川本 純1
  1. 京都大学化学研究所

概要原稿

SingerとNicolsonによって生体膜の流動モザイクモデルが提唱されてから40年以上が経過した(1).このモデルにより,脂質が形成する二重層にさまざまなタンパク質がモザイク状に埋め込まれ,こうしてできた膜の中を脂質分子とタンパク質分子が側方拡散(ラテラル拡散)する生体膜のイメージができあがった.このモデルでは脂質二重層をいわば二次元の液体と見なし,溶質であるタンパク質が溶媒である脂質の中を移動する.しかし,脂質分子とタンパク質分子は生体膜中で完全に自由に動き回っているわけではない.近年の研究により,特定の分子群が特定の領域に集合することで種々のマイクロドメインを形成し,それらがさまざまな生理機能を担うことが明らかにされつつある.

リファレンス

  1. 1) S. J. Singer & G. L. Nicolson :Science,175, 720 (1972).
  2. 2) D. Lingwood & K. Simons :Science,327, 46 (2010).
  3. 3) K. Matsumoto, J. Kusaka, A. Nishibori & H. Hara :Mol. Microbiol.,61, 1110 (2006).
  4. 4) E. Mileykovskaya & W. Dowhan :Biochim. Biophys. Acta,1788, 2084 (2009).
  5. 5) D. Lopez & R. Kolter :Genes Dev.,24, 1893 (2010).
  6. 6) S. Sato, J. Kawamoto, S. B. Sato, B. Watanabe, J. Hiratake, N. Esaki & T. Kurihara :J. Biol. Chem.,287, 24113 (2012).
  7. 7) J. Kawamoto, T. Kurihara, K. Yamamoto, M. Nagayasu, Y. Tani, H. Mihara, M. Hosokawa, T. Baba, S. B. Sato & N. Esaki :J. Bacteriol.,191, 632 (2009).
  8. 8) X. Z. Dai, J. Kawamoto, S. B. Sato, N. Esaki & T. Kurihara :Biochem. Biophys. Res. Commun.,425, 363 (2012).
  9. 9) I. Fishov & V. Norris :Curr. Opin. Microbiol.,15, 724 (2012).


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