解説
食品分野におけるメタボリック・プロファイリングの活用
NMR・MSを用いた包括的な食品成分分析
Vol.55 No.8 Page. 538 - 546 (published date : 2017年7月20日)
概要原稿
食品は多種多様な物質を含む混合物である.それらが独立して味,食感や香り等々を有しているだけではなく,相互的にかかわっている.また保存や調理過程により,化学反応を起こして新しい物質を生み出し,風味や色に変化を与える.したがって,食品分析の主流であるターゲット分析を重ねても食品の特徴を“網羅的”に把握することは難しく,また加工過程で生じるすべての物質について標品があるわけではない.この複雑な混合物である「食品」の評価には,対象を“包括的”に捉えることのできるメタボリック・プロファイリング(MP)が適していると考えている.本解説では,NMRあるいはMSを用いた食品の包括的MPについて紹介する.
リファレンス
- 1) 越智啓太:犯罪捜査の心理学―プロファイリングで犯人に迫る,化学同人,2008.
- 2) 今村美穂:化学と生物,50,818(2012).
- 3) 草野 都,斉藤和季:化学と生物,43,101(2005).
- 4) 草野 都,斉藤和季:化学と生物,43,184(2005).
- 5) 松田史生,及川 彰,草野 都,菊地 淳,斉藤和季:化学と生物,45,754(2007).
- 6) 松田史生,及川 彰,草野 都,菊地 淳,斉藤和季:化学と生物,45,834(2007).
- 7) 津川裕司,小林志寿,馬場健史,福﨑英一郎:化学と生物,49,683(2011).
- 8) 及川 彰:化学と生物,51,615(2013).
- 9) 根本 直,福﨑英一郎監修:メタボロミクスの先端技術と応用,シーエムシー出版,2008, pp. 74–85.
- 10) 「qNMRプライマリーガイド」ワーキンググループ:qNMRプライマリーガイド―基礎から実践まで,共立出版,2015.
- 11) J. C. Lindon, E. Holmes & J. K. Nicholson: Prog. Nucl. Magn. Reson. Spectrosc., 39, 1 (2001).
- 12) M. Koda, K. Furihata, F. Wei, T. Miyakawa & M. Tanokura: J. Agric. Food Chem., 60, 1158 (2012).
- 13) 馬場健史:生物工学会誌,94, 401(2016).
- 14) Metaboanalyst: http://www.metaboanalyst.ca
- 15) 尾崎幸洋,宇田明史,赤井俊雄:化学者のための多変量解析―ケモメトリクス入門,講談社サイエンティフィック,2002, pp. 42–79.
- 16) R. A. van den Berg, H. C. J. Hoefsloot, J. A. Westerhuis, A. K. Smilde & M. J. van der Werf: BMC Genomics, 142, 7 (2006).
- 17) 浜本義彦:統計的パターン認識入門,森北出版,2009,pp. 64–100.
- 18) N. Iizuka, M. Oka, H. Yamada-Okabe, M. Nishida, Y. Maeda, N. Mori, T. Takao, T. Tamesa, A. Tangoku, H. Tabuchi et al.: Lancet, 361, 923 (2003).
- 19) T. Nemoto, I. Ando, T. Kataoka, K. Arifuku, K. Kanazawa, Y. Natori & M. Fujiwara: J. Toxicol. Sci., 32, 429 (2007).
- 20) 根本 直,河原﨑正貴:ジャパンフードサイエンス,51, 50 (2012).
本文はトップページからログインをして頂くと表示されます。