セミナー室 / 海洋生物資源への期待:マリンバイオテクノロジーの現場から

5. 海洋生物遺伝子資源活用への新しいアプローチ
シングルセルゲノム情報に基づいたメタゲノム解析への期待

Vol.51 No.6 Page. 418 - 424 (published date : 2013年6月1日)
竹山 春子1, モリ テツシ2
  1. 早稲田大学先進理工学部生命医科学科
  2. 早稲田大学創造理工学部国際教育センター

概要原稿

海洋は地球の総面積の7割を占め,地球生態系において,物理化学的な均衡を保つための大きな緩衝材となってきた.海洋には大気中の約50倍もの炭素が蓄積されており,化石燃料の燃焼などにより放出された二酸化炭素の約3分の1を吸収しているとIPCCによって報告されている(IPCC第4次報告書,2007).海洋による大気からの二酸化炭素吸収量は,2000~2005年の年平均では22±5億トン(炭素重量換算)と見積られている.これは,同期間に人間活動により放出された二酸化炭素(炭素重量換算)の約3分の1に相当する(1, 2).このような海洋の保全は地球環境保全と直結するものであり,現在海洋環境の詳細な調査が進められている.

リファレンス

  1. 1) IPCC第4次報告書,2007.
  2. 2) 気象庁 HP http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/co2/knowledge/index.html
  3. 3) JST戦略的創造研究推進事業「海洋生物多様性および生態系の保全・再生に資する基盤技術の創出」 http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah23–3.html
  4. 4) E. D. de Silva & P. J. Scheuer :Tetrahedron Lett.,22, 3147 (1981).
  5. 5) Y. Hirata & S. Ohya :Pure Appl. Chem.,58, 701 (1986).
  6. 6) S. P. Gunasekera, M. Gunasekera, R. E. Longley & G. K. Schulte :J. Org. Chem.,55, 4912 (1990).
  7. 7) T. R. Thomas, D. P. Kavlekar & P. A. LokaBharathi :Mar. Drugs,8, 1417 (2010).
  8. 8) J. Piel, D. Hui, G. Wen, D. Butzke M. Platzeret al.:Proc. Natl. Acad. Sci. USA,101, 16222 (2004).
  9. 9) T. K. Kim & J. A. Fuerst :Environ. Microbiol.,8, 1460 (2006).
  10. 10) K. M. Fisch, C. Gurgui, N. Heycke, S. A. van der Sar, S. A. Andersonet al.:Nat. Chem. Biol.,5, 494 (2009).
  11. 11) 竹山春子,岡村好子:“マリンメタゲノムの有効利用”,松永 是,竹山春子監修,シーエムシー出版,pp. 81–90, 2009.
  12. 12) Y. Okamura, T. Kimura, H. Yokouchi, M. Meneses-Osorio, M. Kato, T. Matsunaga & H. Takeyama :Mar. Biotechnol.,12, 395 (2010).
  13. 13) 竹山春子,岡村好子:“シングルセル解析の最前線”,松永 是,神原秀記,植田充美監修,シーエムシー出版,pp. 208–214, 2010.
  14. 14) S. Matsunaga, N. Fusetani & Y. Nakao :Tetrahedron,48, 8369 (1992).


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