特集
抗腫瘍剤FK228の発見経験とつくばでのイノベーション
Vol.56 No.3 Page. 217 - 221 (published date : 2018年2月20日)
概要原稿
無駄な実験をしない合理的な創薬手法が主流となった現在でも,セレンディピティで薬の種を見つけることは可能であると思っている.しかし,そのためには,いかに与えられたチャンスを逃さず,誰よりも早く拾い上げる感性をもって創薬に臨むかが重要である.筆者のセレンディピティ創薬の成功例として,2017年に日本でも承認されたヒストン脱アセチル化の阻害活性をもった抗腫瘍剤FK228(イストダックス:一般名ロミデプシン)の発見経緯と当時のスクリーニングの姿勢を回顧し紹介したい.また,私見となるが,これからの創薬イノベーションの展望と,つくば地区におけるイノベーションを起こす最近の取り組みについてもあわせて紹介する.
リファレンス
- 1) H. Ueda, H. Nakajima, Y. Hori, T. Fujita, M. Nishimura, T. Goto & M. Okuhara: J. Antibiot. (Tokyo), 47, 301 (1994).
- 2) R. Furumai, A. Matsuyama, N. Kobashi, K. H. Lee, M. Nishiyama, H. Nakajima, A. Tanaka, Y. Komatsu, N. Nishino, M. Yoshida et al.: Cancer Res., 62, 4916 (2002).
- 3) H. Ueda, T. Manda, S. Matsumoto, S. Mukumoto, F. Nishigaki, I. Kawamura & K. Shimomura: J. Antibiot. (Tokyo), 47, 315 (1994).
- 4) K. Fujine, M. Tanaka, K. Ohsumi, M. Hashimoto, S. Takase, H. Ueda, M. Hino & T. Fujii: J. Antibiot. (Tokyo), 56, 55 (2003).
- 5) 新井好史,上田博嗣,田端祐二:バイオサイエンスとインダストリー,69, 492 (2011).
- 6) つくばライフサイエンス推進協議会:http://tsukuba-gi.jp/lifescience/
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