「化学と生物」文書館

応用微生物研究所と微生物遺伝学の誕生秘話

Vol.51 No.7 Page. 496 - 499 (published date : 2013年7月1日)
田中 寛1, 吉川 博文2, 河村 富士夫3
  1. 東京工業大学資源化学研究所
  2. 東京農業大学応用生物科学部
  3. 立教大学理学部

概要原稿

応用微生物研究所が日本学術会議の勧告により東京大学に設置されたのは,戦後の余韻もまだ残る1953(昭和28)年7月28日のことである.この際の目的は,「わが国の生産工業の一大部門である微生物利用工業の推進を図る」ことであり,「応用微生物の研究を行うとともに広く有用菌株の蒐集保存および配布を図る」ことであった.設立にあたっての紆余曲折を今は知る由もないが,小石川の東大植物園内に設置する案もあったようである.また,各省庁に所属する多くの関連研究所との密接な連携のうえに設立された経緯については,初代所長となられた坂口謹一郎先生の遺された文献がいくつかあるのでそちらを参照されたい.

リファレンス

  1. 1) 齋藤日向:学内公報 No. 600, 東京大学広報委員会,1983.
  2. 2) 齋藤日向:化学と生物,22, 560 (1984).
  3. 3) 池田庸之助:私信(東大,理研の思い出).
  4. 4) 柳澤桂子:“二重らせんの私 生命科学者の生まれるまで”,早川書房,1998.
  5. 5) 齋藤日向:蛋白質 核酸 酵素,38, 2115 (1993).
  6. 6) 河村富士夫:生物工学会誌,90, 499 (2012).
  7. 7) 応用微生物研究所シンポジウム第4集:微生物の遺伝,東京大学出版会,1963.
  8. 8) 応用微生物研究所シンポジウム第9集:ウイルスとその宿主,東京大学出版会,1968.
  9. 9) 齋藤日向:Nippon Nougeikagaku Kaisi,58, 281 (1984).
  10. 10) 池田庸之助:“農芸化学の100年”,1987, pp. 143–146.
  11. 11) 千葉桜拓,河村富士夫:化学と生物,26, 829 (1988).


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