解説

活性炭触媒を利用した脱水縮合技術の開発とそれを用いた難消化性グルカンの生産
水溶性食物繊維としての「難消化性グルカンの開発」

Vol.56 No.6 Page. 432 - 437 (published date : 2018年5月20日)
濱口 徳寿1, 平井 宏和1, 尾藤 寛之1
  1. 日本食品化工株式会社
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概要原稿

グルコースなどの糖質は,加熱すると脱水縮合反応により多糖化することが古くから知られている(1).べっ甲飴や黒ビール等の食品中には,これら加熱工程で生成する多糖成分が存在する.当該反応は,酸とともに糖質を加熱して得られるポリデキストロースや難消化性デキストリンなどの水溶性食物繊維の生産に応用されている(2).筆者らは,活性炭が多糖化の触媒として機能することを新たに見いだし(図1),2014年に新規な食物繊維素材の難消化性グルカンを開発した(3).本稿では,活性炭による糖の脱水縮合反応の解析ならびにや難消化性グルカンの工業的な製法確立,食物繊維素材としての安全性評価および生理機能評価など難消化性グルカンの開発について紹介する.

リファレンス

  1. 1)水野 卓,西沢一俊:図解糖質化学便覧,共立出版,1971, p. 232.
  2. 2)青江誠一郎:“食物繊維の生理作用”,第一出版,2008, p. 10, 63, 121.
  3. 3) N. Hamaguchi, H. Hirai, K. Aizawa & M. Takada: J. Appl. Glycosci., 62, 7 (2015).
  4. 4)宮川早苗:食品と開発,UBMメディア,2017, p. 55.
  5. 5)厚生労働省:平成28年国民健康栄養調査の結果,http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html, 2017.
  6. 6)林 昌彦,川下由加:活性炭ハンドブック,丸善,2011, p. 1.
  7. 7) H. Kobayashi, M. Yabushita, T. Komanoya, K. Hara, I. Fujita & A. Fukuoka: ACS Catal., 3, 581 (2013).
  8. 8)濱口徳寿,西村祐一,平井宏和:日本農芸化学会大会講演要旨集(Web)2E001活性炭を触媒とする糖縮合反応のメカニズム解析,https://katosei.jsbba.or.jp/MeetingofJSBBA/2016/MeetingofJSBBA2016.pdf, 2016.
  9. 9) T. Oku, K. Tanabe, S. Morita, N. Hamaguchi, F. Shimura & S. Nakamura: Br. J. Nutr., 114, 1550 (2015).
  10. 10) S. Nakamura, K. Tanabe, S. Morita, N. Hamaguchi, F. Shimura & T. Oku: Nutr. Metab., 13, 13 (2016).
  11. 11)一般社団法人食物繊維学会:ルミナコイド素材のエネルギー評価の考え方と難消化性グルカン,難消化性グルカン組成物ならびに還元難消化性グルカン組成物のエネルギー評価結果,jdf.umin.ne.jp/kakusyu/H28-2.pdf, 2016.
  12. 12) H. Bito, N. Hamaguchi, H. Hirai & K. Ogawa: J. Toxicol. Sci., 41, 33 (2016).
  13. 13) H. Bito & N. Hamaguchi: Jpn. Pharmacol. Ther., 45, (2017).
  14. 14) N. Hamaguchi, H. Hirai, S. Kondo, S. Umemura & T. Kimura: Jpn. Pharmacol. Ther., 45, 1935 (2017).
  15. 15) H. Hirai, N. Hamaguchi, H. Bito, M. Suda, T. Sato, T. Kimura & K. Ogawa: Jpn. Pharmacol. Ther. (in Japanese), 44, 1455 (2016).


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