Page. 396 - 398
(published date : 2012年6月1日)
ラミナリンは,コンブなどの褐藻の貯蔵多糖として知られるβ-1,3-グルカン(以下,β-グルカン)の一種で,β-1,3結合により重合したグルコースの主鎖のところどころにβ-1,6結合によりグルコース側鎖が結合した構造をもつ.レンチナンなどの担子菌由来のβ-グルカンには,マクロファージの活性化作用やアレルギーの低減作用,免疫賦活作用などの生理活性があることが知られているが(1),ラミナリンにも免疫賦活作用や糖尿病改善作用がある(2).また,ラミナリンを酵素分解して得たラミナリオリゴ糖には,ヒト単球のTNF-α分泌促進作用があるとされる(3).このようなβ-グルカンの生理作用が,どのようなβ-グルカンの糖鎖構造に基づくのかは未だよくわかっていないが,これを明らかにするにはβ-グルカンに特異的な分解酵素により各種断片を作製し,それらを用いて構造・機能連関を解析することが有効と思われる.