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(published date : 2013年4月1日)
日本の四大公害病の一つに富山県神通川流域で発生した「イタイイタイ病」がある.これは,鉱山の精錬に伴う未処理廃水の放出によって神通川が汚染され,その水を水田や飲用水に使用したことで,高濃度のカドミウム (Cd) が体内に蓄積して発症した.そのため,わが国では1970年に「玄米中にCdとして1.0 mg/kg以上含有してはならない」とする規格基準を食品衛生法によって定めた.その一方,玄米で1.0 mg/kg以上を産出する地域では,土壌の入れ替えによる農地の復元(客土)事業が開始された.2012年3月,富山県神通川流域において33年に及ぶ客土事業が終了したというニュースは記憶に新しいが,いまだ客土事業が完了していない地域が日本各地に残されている.